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掛蒲團
「
本當に
暖く
成つたんだよなあ
日輪まで
酷く
眩ぽくなつたやうなんだよ」おつぎは
例の
少し
甘えるやうな
口吻で一
枚の
掛蒲團をとつた。
それでは
又炬燵でも
拵えたら
何うだ、
自分も
當るからと
云つて、とう/\
櫓と
掛蒲團を
清に
云ひ
付けて、
座敷へ
運ばした。
勉強は
出來ず、
稼業の
仕事は
捗取らず、
持餘した
身體を
春寒の
炬燵へ
投り
込んで、
引被いでぞ
居たりけるが、
時々掛蒲團の
襟から
顏を
出して、あゝ、うゝ、と
歎息して、ふう