“ひきかぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
引被85.7%
引冠14.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その雪の来た翌日になって見ると、屋根に残ったは一尺ほどで、軒先には細い氷柱つららも垂下り、庭の林檎りんごも倒れしていた。鶏の声まで遠く聞えて、何となくすべてが引被ひきかぶせられたように成った。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その時、夜あけ頃まで、堀の上をうろついて、いつうちへ帰ったか、草へもぐったのか、蒲団ふとん引被ひきかぶったのか分らない。めされたようになって寝た耳へ
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実に陰鬱いんうつな、頭の上から何か引冠ひきかぶせられているような気のするところだ。土地の人が信心深いというのも、偶然では無いと思う。この町だけに二十何カ処の寺院がある。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)