“ひきか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
引換22.2%
引懸14.8%
引掛14.8%
引替11.1%
引易7.4%
引掻7.4%
引返7.4%
反対3.7%
引変3.7%
引更3.7%
引被3.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから子供の親許へ手紙をやつて、何時の幾日に、何處其處へ金を持つて來い、子供は引換ひきかへに返してやる。
船の中にも蚊が居るので、主婦は準備して来た蚊帳かやとまの角に引懸ひきかけて低く吊つて、其処そこに一緒にゴタゴタに頭やら足やらを入れて寝た。棚の上の三分の洋燈ランプは、薄暗く青い蚊帳かやを照して居た。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
笑ひ落ちに、すぐに井戸の中へすべり込みまするところを、おのれと、奴めの頭をつかみましたが、帽子だけ抜けて残りましたで、それを、さらしものにいたしまする気で生垣いけがき引掛ひきかけて置きました。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と当って見ると、いやつまんだつめの方が黄色いくらいでござったに、しょうのものとて争われぬ、七りょうならば引替ひきかえにと言うのを、もッと気張きばってくれさっせえで
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我強がづよい仙さんに引易ひきかえ、気易きやすの安さんは村でもうけがよい。安さんは五十位、色の浅黒あさぐろい、眼のしょぼ/\した、何処どこやらのっぺりした男である。安さんは馬鹿を作って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
なあ、ばあさん。——あらものばあさんが、つてるんだ。椋鳥むくどり畜生ちくしやう、もの干棹ほしざを引掻ひきか𢌞まはいてくれようと、幾度いくど飛出とびだしたかわからねえ。たけえからとゞかねえぢやありませんかい。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
不愉快ふゆくわい人車じんしやられてびしい溪間たにまおくとゞけられることは、すこぶ苦痛くつうであつたが、今更いまさら引返ひきかへすこと出來できず、其日そのひ午後ごゝ時頃じごろ此宿このやどいた。突然とつぜんのことであるから宿やど主人あるじおどろかした。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
美妙が私と同齢の青年であるとは前から聞いていたが、私の蓬頭垢面ほうとうこうめん反対ひきかえてノッペリした優男やさおとこだったから少くも私よりは二、三歳弱齢とししたのように見えた。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
見廻す街の光景は初夜の頃入場したる時のにぎやかさには引変ひきかへて、しづまり行くよるの影深く四辺あたりめたれば、身は忽然見も知らぬ街頭に迷出まよひいでたるが如く、朧気おぼろげなる不安と、それに伴ふ好奇の念に誘はれて
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それに引更ひきかえて、光子てるこの御方が嫁いだ藤波家は、伊勢の神職の公卿で至ってわびしい家庭だった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貫一は無雑作に郡内縞ぐんないじま掻巻かいまき引被ひきかけてしけるを、疎略あらせじと満枝は勤篤まめやかかしづきて、やがておのれも始めて椅子にれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)