-
トップ
>
-
引掛
>
-
ひきか
着慣れませぬ新らしい笈摺を
引掛け、
雪卸しの
菅の笠には
同行二人と書き、白の脚半に
甲掛草鞋という姿で、慣れた大工町を出立致しまする。
笑ひ落ちに、すぐに井戸の中へ
辷り込みまする
処を、おのれと、奴めの頭を
掴みましたが、帽子だけ抜けて残りましたで、
其を、さらしものにいたしまする気で
生垣に
引掛けて置きました。
かく
呟きつつ庭下駄を
引掛け、急ぎ行きて、その想へるやうに燈籠に
倚しめ、頬杖を
拄しめ、空を眺めよと教へて、
袂の
皺めるを
展べ、
裾の
縺を引直し、さて好しと、
少く
退きて姿勢を見るとともに
と直ぐに羽織を
引掛け、一刀
帯して女房おかやを連れ、文治郎の台所口から