-
トップ
>
-
ひきかけ
致せしなり既に
其御侍士が
鴻の
巣までも行んと云るゝにより
私しが右の
駕籠屋の來らざる
中此熊谷土手は名代の
物騷なる所にて
殊に四里八丁もある場所ゆゑ必らず夜に
入に付今夜は
當宿に
泊りて
翌の
朝早立になされよと御止め申居たる處へ
駕籠舁めが
這入來り終に
勸め込て
引懸行しなり其時
貴方樣が御出成れたなら
惡漢の五人や十人は
肩に
引掛若き女は上に
浴衣を
覆ひたれども下には
博多縮緬の小袖を二枚着し
小柳に
縫模樣ある帶を
締兩褄を
取揚緋の
蹴出を
顯はし
肉刺にても
蹈出せしと見えて竹の
杖を
突ながら足を