引被ひつか)” の例文
何時いつしか暗い陰影かげ頭腦あたまはびこつて來る。私は、うして何處へといふ確かな目的あてもなく、外套を引被ひつかけて外へ飛び出して了ふ。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
上草履うはざうり爪前つまさきほそ嬝娜たをやかこしけた、年若としわか夫人ふじんが、博多はかた伊達卷だてまきした平常着ふだんぎに、おめしこん雨絣あまがすり羽織はおりばかり、つくろはず、等閑なほざり引被ひつかけた、姿すがたは、敷詰しきつめた絨氈じうたん浮出うきいでたあやもなく
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなは今時こんじ内職ないしよく目的もくてきかゆあらず塩にあら味噌みそあらず安コートを引被ひつかけんがためそろ安縮緬やすちりめん巻附まきつけんがためそろ今一歩をすゝめて遠慮ゑんりよなく言はしめたまへ安俳優やすはいいうに贈り物をなさんがめにそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
何時しか暗い陰影かげ頭脳あたまはびこつて来る。私は、うして何処へといふ確かな目的あてもなく、外套を引被ひつかけて外へ飛び出して了ふ。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)