筆架ひつか)” の例文
その日は木瓜ぼけ筆架ひつかばかり気にして寝た。あくる日、眼がめるやいなや、飛び起きて、机の前へ行って見ると、花はえ葉は枯れて、白い穂だけが元のごとく光っている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小供のうち花の咲いた、葉のついた木瓜ぼけを切って、面白く枝振えだぶりを作って、筆架ひつかをこしらえた事がある。それへ二銭五厘の水筆すいひつを立てかけて、白い穂が花と葉の間から、隠見いんけんするのを机へせて楽んだ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)