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引掛
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ひっかけ
と、もう縞の小袖をしゃんと
端折って、昼夜帯を
引掛に結んだが、
紅い
扱帯のどこかが漆の葉のように、
紅にちらめくばかり。
芸者襟付の
不断着に帯は
必引掛にして
前掛をしめ、黒縮緬五ツ紋の
羽織を着て
素足にて
寄席なぞへ行きたり。毛織のショール既にすたれて
吾妻コート流行。
あの親父が此の間
髭を剃りましたよ白髪交りの胡麻塩頭を
結て新しい半纏を
引掛て坐って居ますが大きに様子が
快くなって病人らしく無く成ったが、
娘さんも襦袢に新しい襟を掛けたぜ
まず
引掛の昼夜帯が一つ鳴って
〆った姿。わざと短い
煙管で、真新しい
銅壺に並んで、立膝で吹かしながら、雪の素顔で、
廓をちらつく影法師を見て思出したか。
夕化粧の襟足
際立つ手拭の
冠り方、襟付の
小袖、肩から滑り落ちそうなお
召の
半纏、お召の前掛、しどけなく
引掛に結んだ
昼夜帯、凡て現代の道徳家をしては覚えず眉を
顰めしめ
小柳の
縞の帯しどけなく
引掛にしめた女の姿、年の頃はまだ
二十ばかりと思われた。
翌晩、
夜更けて私を起しますから、
素よりこっちも目を開けて待った
処、直ぐに
支度をして、その時、帯をきりりと
〆めた、
引掛に、
先刻言いましたね、
刃を
手拭でくるくると巻いた鎌一
挺。
中形の浴衣に
糸巻崩し
昼夜帯の
引掛という様子なり物言いなり
仲町の
妓と思う人はあるかも知れぬが、ついぞこの間まで
廓にいなすった
華魁衆とはどうしてどうして気がつくものか。