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引掛
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ひっか
ふりがな文庫
“
引掛
(
ひっか
)” の例文
かくしてそのトラックは速力を
緩
(
ゆる
)
めることなしに、店員にガソリンの
排気
(
はいき
)
をいやというほど
引掛
(
ひっか
)
けて
遠去
(
とおざ
)
かっていってしまったのである。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
身長の高い一人は洋服を着て背嚢を背負った上から二重廻しを
引掛
(
ひっか
)
けている。一人は綿入れを着て同じく背嚢を背負って懐手をしている。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
白い肩掛を
引掛
(
ひっか
)
けた
丈
(
せい
)
のすらりとした
痩立
(
やせだち
)
の姿は、
頸
(
うなじ
)
の長い目鼻立の
鮮
(
あざやか
)
な色白の
細面
(
ほそおもて
)
と
相俟
(
あいま
)
って、いかにも
淋
(
さび
)
し気に
沈着
(
おちつ
)
いた様子である。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
バタリと口に
啣
(
くわ
)
えた
櫛
(
くし
)
が落ちた。お誓は帯のむすびめをうしろに取って、細い腰をしめさまに、その
引掛
(
ひっか
)
けを手繰っていたが
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
七日が
過
(
すぎ
)
ると土手の甚藏が
賭博
(
ばくち
)
に負けて
素
(
す
)
っ
裸体
(
ぱだか
)
になり、寒いから
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の上に馬の腹掛を
引掛
(
ひっか
)
けて妙な
形
(
なり
)
に成りまして、お賤の処へ参り
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
九
時
(
じ
)
少
(
すこ
)
し
過
(
す
)
ぎ、ミハイル、アウエリヤヌイチは
帰
(
かえ
)
らんとて
立上
(
たちあが
)
り、
玄関
(
げんかん
)
で
毛皮
(
けがわ
)
の
外套
(
がいとう
)
を
引掛
(
ひっか
)
けながら
溜息
(
ためいき
)
して
云
(
い
)
うた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
マドンナも大方この手で
引掛
(
ひっか
)
けたんだろう。赤シャツが送別の辞を述べ立てている最中、
向側
(
むかいがわ
)
に坐っていた山嵐がおれの顔を見てちょっと
稲光
(
いなびかり
)
をさした。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
西の方で出来たイカサマ物を東の方の田舎へ
埋
(
う
)
めて置いて、掘出し党に好い掘出しをしたつもりで悦ばせて、そして
釣鉤
(
つりばり
)
へ
引掛
(
ひっか
)
けるなどという者も出て来る。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
半纏の男が着せてくれた、腐った古半纏、それを
引掛
(
ひっか
)
けたまま、出雲守頼門はぼんやり立って居りました。
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
幸
(
さいわ
)
いにも、
生命
(
いのち
)
には、
別状
(
べつじょう
)
もなかったが、
落
(
お
)
ちた
拍子
(
ひょうし
)
に、
茨
(
ばら
)
へ
引掛
(
ひっか
)
かって、
眼
(
め
)
を
潰
(
つぶ
)
してしまいました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
それを
猿
(
さる
)
に
引掛
(
ひっか
)
けて木に登りとからかうと、一方また猿に対して狗といった、つまりは平凡なただの口合いではあるが、「狗のような法師」はあのころのはやりで
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
寝衣
(
ねまき
)
の上へ
寛衣
(
ガウン
)
を
引掛
(
ひっか
)
けながら、
宗方博士
(
むねかたはかせ
)
を先に、助手の
新田進
(
にったすすむ
)
も
洋灯
(
ランプ
)
を持ってとび出して来た。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
八人の警吏が
各々
(
めいめい
)
弓張
(
ゆみはり
)
を照らしつつ
中背
(
ちゅうぜい
)
の浴衣掛けの
尻端折
(
しりはしおり
)
の男と、浴衣に
引掛
(
ひっか
)
け帯の女の前後左右を囲んで行く跡から四、五十人の自警団が各々
提灯
(
ちょうちん
)
を持ってゾロゾロ
従
(
つ
)
いて行った。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
勿論
(
もちろん
)
飯を
喫
(
く
)
う時と
会読
(
かいどく
)
をする時には
自
(
おのず
)
から遠慮するから何か一枚ちょいと
引掛
(
ひっか
)
ける、中にも
絽
(
ろ
)
の羽織を真裸体の上に着てる者が多い。
是
(
こ
)
れは余程おかしな
風
(
ふう
)
で、今の人が見たら、さぞ笑うだろう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
寝苦しいか、白やかな胸を出して、
鳩尾
(
みぞおち
)
へ踏落しているのを、
痩
(
や
)
せた胸に
障
(
さわ
)
らないように、
密
(
そ
)
っと
引掛
(
ひっか
)
けたが何にも知らず、まず
可
(
よ
)
かった。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
膝の抜けかゝった
盲縞
(
めくらじま
)
の股引に、垢染みた
藍
(
あい
)
の
万筋
(
まんすじ
)
の
木綿袷
(
もめんあわせ
)
の前をいくじなく合せて、縄のような三尺を締め、袖に
鉤裂
(
かぎざき
)
のある
印半纏
(
しるしばんてん
)
を
引掛
(
ひっか
)
けていて
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何故
(
なぜ
)
というに神社の境内に近く
佗住居
(
わびずまい
)
して読書に
倦
(
う
)
み苦作につかれた折
窃
(
そっ
)
と着のみ着のまま
羽織
(
はおり
)
も
引掛
(
ひっか
)
けず我が
家
(
や
)
の庭のように静な裏手から人なき境内に
歩入
(
あゆみい
)
って
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
茶屋は幸にして
異
(
ちが
)
っていた。吉川夫婦の姿はどこにも見えなかった。
襟
(
えり
)
に毛皮の付いた重そうな
二重廻
(
にじゅうまわ
)
しを
引掛
(
ひっか
)
けながら岡本がコートに
袖
(
そで
)
を通しているお延を
顧
(
かえり
)
みた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
オイ飯を食わしてくれろッてえんで帰っての
今朝
(
けさ
)
、
自暴
(
やけ
)
に
一杯
(
いっぺえ
)
引掛
(
ひっか
)
けようと云やあ、大方
男児
(
おとこ
)
は外へも出るに
風帯
(
ふうてえ
)
が無くっちゃあと云うところからのことでもあろうが
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一人でも力のある男はそれを一方のはしに
引掛
(
ひっか
)
け、または分けられる物ならば半分ずつ
両端
(
りょうはし
)
につけて、まんなかをかたげて運ぼうとするようになったのは自然のことである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
女どもを出掛けさせ、慌しく一枚ありあわせの紋のついた羽織を
引掛
(
ひっか
)
け、胸の紐を結びもあえず、
恰
(
あたか
)
も
空
(
あ
)
いていたので、隣の上段へ
招
(
しょう
)
じたのであった。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
山が
入
(
い
)
って段々縫い縮めたから幅が狭く成って居りまする、其の上にお
召縮緬
(
めしちりめん
)
の小弁慶の半纒を
引掛
(
ひっか
)
け、手拭
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
を持って豆腐屋の前を通りかゝると
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
唖々子は時々長い
頤
(
あご
)
をしゃくりながら、
空腹
(
すきっぱら
)
に五、六杯
引掛
(
ひっか
)
けたので、
忽
(
たちま
)
ち
微醺
(
びくん
)
を催した様子で
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一方には多量の
木綿古着
(
もめんふるぎ
)
を関西から輸入して、
不断着
(
ふだんぎ
)
にも用いているが、冬はかえってその上へ麻の半てんを
引掛
(
ひっか
)
ける
風
(
ふう
)
があるということを、私は九州に行って学んだのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
するとこの煙の中に、首をすくめた、眼を細くした、しかも心持
眉
(
まゆ
)
を寄せた昔の女の顔がちょっと見えた。自分は床の上に起き直った。寝巻の上へ
羽織
(
はおり
)
を
引掛
(
ひっか
)
けて、すぐ縁側へ出た。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
紳士 口でな、
最
(
も
)
う其の時から。
毒蛇
(
どくじゃ
)
め。
上頤
(
うわあご
)
下頤
(
したあご
)
へ
拳
(
こぶし
)
を
引掛
(
ひっか
)
け、
透通
(
すきとお
)
る歯と
紅
(
べに
)
さいた唇を、めりめりと
引裂
(
ひきさ
)
く、
売婦
(
ばいた
)
。(足を挙げて、
枯草
(
かれくさ
)
を
踏蹂
(
ふみにじ
)
る。)
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
とずう/\しい奴で、其の蚊帳を肩に
引掛
(
ひっか
)
けて出て
行
(
ゆ
)
きます。お累は出口へ
斯
(
こ
)
う這出したが、
口惜
(
くや
)
しいと見えて
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「うむ。じゃア今の
中
(
うち
)
……飯を食う前にちょっと行って来よう。」男は立上って羽織も一ツに
襲
(
かさ
)
ねたまま壁に
引掛
(
ひっか
)
けてある
擬銘仙
(
まがいめいせん
)
の
綿入
(
わたいれ
)
を着かけた時、
階下
(
した
)
から男の声で
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
上頤下頤
(
うわあごしたあご
)
へ
拳
(
こぶし
)
を
引掛
(
ひっか
)
け、透通る歯と
紅
(
べに
)
さいた唇を、めりめりと引裂く、
売女
(
ばいた
)
。(足を挙げて、枯草を
踏蹂
(
ふみにじ
)
る。)
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伊「何んでえ、仲の
幇間
(
たいこもち
)
だから花魁の
贔屓
(
ひいき
)
をしねえな「幇間ドラを打たして陣を引き」と云う川柳の通りで、己が勘当にでもされたらば
唾
(
つば
)
も
引掛
(
ひっか
)
けやしめえ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「おかみさん。湯に行って暖たまって
来
(
こ
)
よう。今日は
一日
(
いちんち
)
楽
(
らく
)
休みだ。」と兼太郎は夜具を踏んで柱の
釘
(
くぎ
)
に
引掛
(
ひっか
)
けた手拭を取り、「大将はもう芝居かえ。
一幕
(
ひとまく
)
のぞいて来ようかな。」
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
時々光を、幅広く
迸
(
ほとば
)
しらして、
濶
(
かッ
)
と明るくなると、
燭台
(
しょくだい
)
に
引掛
(
ひっか
)
けた羽織の袂が、すっと映る。そのかわり、じっと沈んで暗くなると、紺の縦縞が
消々
(
きえぎえ
)
になる。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あれを
引掛
(
ひっか
)
けて然うして
奴
(
やっこ
)
蛇の目の傘を持って、傘は紐を付けて
斜
(
はす
)
に
脊負
(
しょ
)
って行くようにしてくんな、ひょっと降ると困るから、なに頭巾をかぶれば寒くないよ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その夜の雨から時候が打って変ってとても
浴衣
(
ゆかた
)
一枚ではいられぬ肌寒さにわたしはうろたえて
襦袢
(
じゅばん
)
を重ねたのみか、すこし夜も
深
(
ふ
)
けかけた
頃
(
ころ
)
には
袷羽織
(
あわせばおり
)
まで
引掛
(
ひっか
)
けた事があるからである。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
常の如く番頭さんが女の方へ
摺寄
(
すりよ
)
って来るとき、女の方で番頭の手へ小指を
引掛
(
ひっか
)
けたから、手を握ろうとすると無くなって仕舞うから、
恰
(
まる
)
で金魚を探すようで
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それを、しかも松の枝に
引掛
(
ひっか
)
けて、——名古屋の客が待っていた。
冥途
(
めいど
)
の
首途
(
かどで
)
を導くようじゃありませんか、
五月闇
(
さつきやみ
)
に、その白提灯を、ぼっと松林の中に、という。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兼太郎は
炬燵
(
こたつ
)
に火を入れて寝てしまおうかと思ったが今朝は
正午
(
ひる
)
近くまで
寝飽
(
ねあ
)
きた
瞼
(
まぶた
)
の閉じられようはずもないので、古ぼけた
二重廻
(
にじゅうまわし
)
を
引掛
(
ひっか
)
けてぷいと外へ出てしまった。
本
(
もと
)
より行くべき処もない。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これもお高祖頭巾を冠り縞縮緬のはでやかな小袖に、上には寒さ
防
(
よ
)
けに是も綿入羽織を
引掛
(
ひっか
)
けて居ります。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
余り人間離れがしますから、
浅葱
(
あさぎ
)
の麻の葉絞りで
絹縮
(
きぬちぢみ
)
らしい
扱帯
(
しごき
)
は、
平
(
ひら
)
にあやまりましたが、
寝衣
(
ねまき
)
に着換えろ、とあるから、思切って
素裸
(
すッぱだか
)
になって
引掛
(
ひっか
)
けたんです。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
いず
)
れの権妻か奥さんか如何にも品のある方で、日に三度着物を着替るが、浴衣によって上へ
引掛
(
ひっか
)
ける羽織が違うと云うので、色の黒い
下婢
(
おんな
)
が
一人
(
いちにん
)
附いて居ります。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「久しぶりで、私が洗って差上げましょう。」と、脱いだ上衣を、井戸側へ
突込
(
つっこ
)
むほど
引掛
(
ひっか
)
けたと思うと、お妙がものを云う
間
(
ひま
)
も無かった。手を早や金盥に突込んで
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄萌葱
(
うすもえぎ
)
の窓掛を、
件
(
くだん
)
の
長椅子
(
ソオフア
)
と雨戸の
間
(
あい
)
へ
引掛
(
ひっか
)
けて、幕が明いたように、絞った
裙
(
すそ
)
が
靡
(
なび
)
いている。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と梶棒を放して
車夫
(
くるまや
)
が前へのめったから、急に車の中から出られません、車夫は逃げようとして足を梶棒に
引掛
(
ひっか
)
け、建部の
溝
(
みぞ
)
の中へ転がり落ちる。庄三郎は短刀を
振翳
(
ふりかざ
)
し
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あまりの事に、
寂然
(
しん
)
とする、その人立の中を、どう替草履を
引掛
(
ひっか
)
けたか覚えていません。夢中で、はすに木戸口へ
突切
(
つっき
)
りました。お絹は、それでも、帯も襟もくずさない。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此の花と申すは拙者を差した事で、今を
春辺
(
はるべ
)
と咲くや此の花、という古歌に
引掛
(
ひっか
)
けて、梅三郎の名を匿したので、拙者の文を
其処
(
そこ
)
へ取落して置けば、春部に罪を負わして
後
(
のち
)
は
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ばちゃりと
刎
(
は
)
ねる。どうもおかしい。そのうちに、隣のじとじとした
廃畑
(
すたればた
)
から、
畝
(
あぜ
)
うつりに出て来る蛙を見ると、頭に三筋ばかり長い髪の毛を
引掛
(
ひっか
)
けて
曳
(
ひ
)
いているのです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
洗いざらし物ではありますが
双子
(
ふたこ
)
の着物におんなし羽織を
引掛
(
ひっか
)
け、紺足袋に麻裏草履をはいております、顔は手拭で
頬冠
(
ほゝかぶり
)
をした上へ編笠をかぶッてますから能くは見えませんが
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
姿の柳に
引掛
(
ひっか
)
けて、
艶
(
つや
)
やかにさしながら、駒下駄を軽く、
褄
(
つま
)
をはらはらとちと急いで来た。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わっち
)
さ、
扮装
(
なり
)
を
拵
(
こしら
)
えるね
此様
(
こん
)
な
扮装
(
いでたち
)
じゃアいけないが
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の茶の
万筋
(
まんすじ
)
の着物に上へ
唐桟
(
とうざん
)
の
縞
(
らんたつ
)
の通し襟の
半※
(
はんてん
)
を
引掛
(
ひっか
)
けて
白木
(
しろき
)
の三尺でもない、それより
彼
(
あ
)
の子は
温和
(
おとなし
)
い方が好きですかねえ
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
片側波を打った
亜鉛塀
(
トタンべい
)
に、ボヘミヤ人の数珠のごとく、烏瓜を
引掛
(
ひっか
)
けた、
件
(
くだん
)
の
繻子張
(
しゅすばり
)
を
凭
(
もた
)
せながら、畳んで
懐中
(
ふところ
)
に入れていた、その羽織を引出して、今着直した処なのである。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
掛
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
“引掛”で始まる語句
引掛帯
引掛帶
引掛所