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引掛
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ひつかけ
彼は立ち
上がつて、
茶の
間へ
来て、畳んである羽織を又
引掛た。さうして玄関に
脱ぎ棄てた下駄を
穿いて
馳け
出す様に門を
出た。時は四時頃であつた。
遁れねば二人とも如何なる
憂目に逢んも知れ難し少も早く
落付給へと云ば友次郎は何か
仔細は分らねども然らばとて手
早く
草鞋履しむればお花も有合の草鞋を足に
引掛二人手を
云はぬが花と
実入りのよい
大尽客を
引掛に、旅に出るのもありやうは、亭主の為めと夕暮の、
涼風慕ふ夏場をかけ、
湯治場近き
小田原で、
宿場稼ぎの旅芸者、知らぬ
土地故応頼の