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惡漢
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しれもの
見定めざりしは
殘念なれども江戸の中にさへ居らば尋ぬるにも
便りよし
然ながら
彼奴も
惡漢なれば其方と
面を
學び得て覺えある
惡漢なれ共
不意と云
多勢にて
押伏られし事故
汚面々々と
召捕れけり斯て又友次郎は其朝馬喰町の旅宿を
曉寅刻に立出て板橋の方へ
到り吾助を
請て見よと
眞向に
振翳して切て
懸る此時吾助は身に
寸鐵も
帶ざれども
惡漢なれば
少も恐れず
傍に落たる松の
枯枝を
追取て右に
請左りに流し
暫し戰ひ居たりしが吾助は
元來劔術を