痴漢しれもの)” の例文
「それでも、貴様、人間か、僧侶かっ。なんのざまだっ、馬鹿っ、仏法千年の伝統を蹂躙じゅうりんする痴漢しれものめ! こうしてやる!」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黙れ痴漢しれもの! 無礼の痴漢! お吉なんどとこの婦人を、呼びすてにする無礼無礼! ……諏訪の湖畔で汝のために、斬り立てられてこの拙者、湖に落ちたを
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「寺へ入って和尚おしょうのような真似まねをしておるが、あの痴漢しれもののことじゃ、どんな用心をしておるかも判らん」
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「第一無礼を致しながら、編笠を冠ったまま詫びるとは、礼儀を心得えぬ痴漢しれものと見える。礼儀を知らずば知らしてくりょう」云いざま肩にひっかつぎ、声を掛けて投げ飛ばした。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『学才があると聞けば、なお憎い。あきれた痴漢しれものよ。憎んでも、憎みたりぬ犬畜生』
「これで門出かどでさかずきはすんだ、出かけよう、油断して痴漢しれものうちもらすな」
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
意気地いくじのない痴漢しれものよな。よいよい縄目を解いてやるほどに、とく城から出るがよいわ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
なにがしという痴漢しれものでござる! 拙者が小枝を奪おうとしたのを、邪魔をいたしたそのあげくに、丹生川平のあたら若者を、五人がところ討ち取ってござる! 早々討ってお取りくだされ!
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「得たりや痴漢しれもの、討ってとれ!」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)