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白痴
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こけ
ふりがな文庫
“
白痴
(
こけ
)” の例文
旧字:
白癡
我ながらこの間抜々々した恰好、
白痴
(
こけ
)
が虫歯を押さえている手付きにもさながらで、ほとほと自分がいやになってきた。とたんに
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「親分、かう言つたわけだ。三輪の親分に
白痴
(
こけ
)
扱ひにされても腹は立たねえが、親分の事まで何とか言はれちや我慢がならねえ。それに——」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼はへら/\/\と笑ったあとは、寂しくぽかんとした平常の少年に還り、たゞ始終、誰かより立優り度い
白痴
(
こけ
)
の一念通りに動いて行きます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まるっきり
白痴
(
こけ
)
みてえになってたが、それでもどこをどう
手繰
(
たぐ
)
ったものか捜し当てて来た、おさんはそういう女なんだ
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
浮気の
痕跡
(
あと
)
がタップリと血の中に残っている。この
白痴
(
こけ
)
野郎ッ……てな毒の
名前
(
なめえ
)
だったと思いますがね。ヘエ。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
「竜手様さまと来らあ! 竜の手だとよ、うふっ、利いた風なことを言っても、田舎ざむれえなんて、下らねえ物を持ち廻りやがって
白痴
(
こけ
)
なもんだなあ。」
釘抜藤吉捕物覚書:12 悲願百両
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ひどいもんですねえ、家へ帰りますと、せがれの面まで
白痴
(
こけ
)
面に見えてうす汚なくてたまらない。いったいいつまでそんなことをやらかそうというんです。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
梅花の
匂
(
におい
)
ぷんとしたに
振向
(
ふりむけ
)
ば柳のとりなり玉の顔、さても美人と感心した所では
西行
(
さいぎょう
)
も
凡夫
(
ぼんぷ
)
も
変
(
かわり
)
はなけれど、
白痴
(
こけ
)
は其女の影を自分の
睛
(
ひとみ
)
の底に
仕舞込
(
しまいこん
)
で忘れず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
比
(
くら
)
べ
物
(
もの
)
はあるまいとて
口
(
くち
)
に
税
(
ぜい
)
が
出
(
で
)
ねば
我
(
わが
)
おもしろに
人
(
ひと
)
の
女房
(
にようぼ
)
を
評
(
ひよう
)
したてる
白痴
(
こけ
)
もあり、
豆腐
(
おかべ
)
かふとて
岡持
(
おかもち
)
さげて
表
(
おもて
)
へ
出
(
いづ
)
れば、
通
(
とほ
)
りすがりの
若
(
わか
)
い
輩
(
ひと
)
に
振
(
ふり
)
かへられて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それなら、実は
此方
(
こっち
)
も
疾
(
とう
)
からその気ありだから、それ
白痴
(
こけ
)
が出来合
靴
(
ぐつ
)
を買うのじゃないが、しッくり
嵌
(
は
)
まるというもンだ。嵌まると云えば、邪魔の入らない内だ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
政吉 何をいやがる、
白痴
(
こけ
)
にするねえ。政吉は江戸を逃げて高山在の、
久々野
(
くぐの
)
という処に、僅な
知辺
(
しるべ
)
をたよって行き、山国の者に半分なったが、根性は元の江戸の男だ。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
白痴
(
こけ
)
なことこくなてえば。二両二貫が何
高値
(
たか
)
いべ。
汝
(
われ
)
たちが
骨節
(
ほねっぷし
)
は
稼
(
かせ
)
ぐようには造ってねえのか。親方には半文の借りもした覚えはねえからな、俺らその
公事
(
くじ
)
には乗んねえだ。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
みっともないから事の次第はいわない、とにかく、その時分、いまにして思えば
空
(
くう
)
な話。——らちくちもない夢のような話をたよりに、わたしは、
白痴
(
こけ
)
みれんな毎日を送っていた。
春深く
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
ともかく白昼の市街を歩みながら、すべてが
白痴
(
こけ
)
のように朦朧とした感じであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この次郎左衛門はこれまでに幾たびとなく血の雨を浴びて来た男だ。貴様たちの
鈍刀
(
なまくら
)
がなんだ、
白痴
(
こけ
)
が
秋刀魚
(
さんま
)
を振り廻すような真似をしやあがったって、びくともするんじゃあねえぞ。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
トヾの
結局
(
つまり
)
が
博物館
(
はくぶつくわん
)
に
乾物
(
ひもの
)
の
標本
(
へうほん
)
を
残
(
のこ
)
すか
左
(
さ
)
なくば
路頭
(
ろとう
)
の
犬
(
いぬ
)
の
腹
(
はら
)
を
肥
(
こや
)
すが
世
(
よ
)
に
学者
(
がくしや
)
としての
功名
(
こうみやう
)
手柄
(
てがら
)
なりと
愚痴
(
ぐち
)
を
覆
(
こぼ
)
す
似而非
(
えせ
)
ナツシユは
勿論
(
もちろん
)
白痴
(
こけ
)
のドン
詰
(
づま
)
りなれど、さるにても
笑止
(
せうし
)
なるは
世
(
よ
)
の
是
(
これ
)
沙汰
(
さた
)
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
「なあ、こいつ
白痴
(
こけ
)
じゃないのかい?」
接吻
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一人だけ繩目を
脱
(
のが
)
れて、今でも人もなげに御府内を荒し廻り、この平次を
白痴
(
こけ
)
にして喜んで居る。俺はこの房吉を縛つて、江戸中の人を安心させたいのだよ
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この女郎の日和はお内儀で、勝手と蔵を一度往来して今あ母屋にいなさることは、これ、跡の向きを見りゃあ
白痴
(
こけ
)
にもわからあ。もう一つの
草鞋
(
わらんじ
)
ものは——。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「そう致しましょう」と重太夫が云った、「このみちだけは
白痴
(
こけ
)
でも人並、ということを申しますが、どうやらおだれどのはそのほうも人並ではないようです」
若き日の摂津守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……これ見ろ、この手紙の終りに、
白痴
(
こけ
)
と言わんばかりの文句が書いてある。……この手紙は、おれの名あてだから、白痴というのは、おれのことか知らんて。
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
いかにまことのさまであったとて、その奇矯な振舞いは人を
白痴
(
こけ
)
にするにも程があると先生を失せさした山まで
加担人
(
かとうど
)
のように憎まれ、一たんは山におもてを背けます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
さてもそののち
室香
(
むろか
)
はお辰を
可愛
(
かわゆ
)
しと思うより、
情
(
じょう
)
には鋭き女の勇気をふり起して昔取ったる
三味
(
しゃみ
)
の
撥
(
ばち
)
、再び握っても色里の往来して
白痴
(
こけ
)
の大尽、
生
(
なま
)
な
通人
(
つうじん
)
めらが
間
(
あい
)
の
周旋
(
とりもち
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
殊に『有喜世新聞』では「黒田騒動」における右団次の
浅川主水
(
あさかわもんど
)
の闇試合を評して、
白痴
(
こけ
)
がさんまを持って二十五座を踊っているようだと罵倒したので、右団次
贔屓
(
びいき
)
の反感を買ったらしく
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「たらいうだ?
白痴
(
こけ
)
」
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「待たねえ、こんな
腑抜
(
ふぬ
)
けとは知らず、今日まで待っていたのはこっちが
白痴
(
こけ
)
だ、親分の恨みはこの丹三一人で立派にお晴らし申してみらあな、この人でなしめ」
無頼は討たず
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
白痴
(
こけ
)
が銭勘定をしやしめえし、同じことばかりいってたって仕様がねえ。なにしろめでたく千秋楽になったんだから、鶴のことなぞもうどうだっていいじゃないか。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
お樂は恐る/\
樽
(
たる
)
の呑口を
捻
(
ひね
)
つて、地酒といつても自慢のを一本、
銅壺
(
どうこ
)
へ投り込んで、早速の
燗
(
かん
)
をすると、盆へ
猪口
(
ちよく
)
を添へて、
白痴
(
こけ
)
がお
神樂
(
かぐら
)
の眞似をする恰好で持つて出ます。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かけてどうなさるお気だ。ねえ、物は思案ずく、出るところへ出てちいっと困るのはお前さん方じゃござんせんか。
白痴
(
こけ
)
が犬の
糞
(
くそ
)
を踏みあしめえし、下手なしかめっ面あ当節
流行
(
はや
)
らねえぜ
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
白痴
(
こけ
)
づらに青っ洟、これが十二万五千石のお世つぎとは、誰だって気がつくはずはあるまい。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それは大抵馬糞墨でザラ紙に書いた
白痴
(
こけ
)
脅かしで、気違いの仕業でなければ、不良少年の
悪戯
(
いたずら
)
にきまって居りますが、此手紙は恐ろしく念入で、単なる脅かしや
悪戯
(
いたずら
)
とも思えぬ
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「変な話しというやつだ」と六郎兵衛は盃を取り、妹に酌をさせながら云った、「いま自分の口で云ったことくらい覚えていろ、きさまは頭が悪いうえに、男のことがあると
白痴
(
こけ
)
みたようになる」
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「転んだ。
白痴
(
こけ
)
の一人相撲。面目ねえ。」
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
出来そこないの
冬瓜
(
とうがん
)
のような
方図
(
ほうず
)
もない顎をぶらさげ、
白痴
(
こけ
)
か薄のろかと思われるような間のびのした顔をしているくせに、感がいいというのか、どんな入りくんだアヤでも
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
厚化粧で滿面の
媚
(
こび
)
をさらけ出して歩く女は、これに比べると、まさに
白痴
(
こけ
)
も同樣です。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
牛込のほうの男は
白痴
(
こけ
)
のようになってしまったそうだ
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
垢染んだ黒羽二重の袷を前下がりに着、へちまなりの図ぬけて大きな顎をぶらぶらさせ、
門口
(
かどぐち
)
に立ちはだかって、
白痴
(
こけ
)
が物乞するようなしまりのない声で呼んでいるのが、顎十郎。
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「こんな手數のかゝる謎々が、
白痴
(
こけ
)
や氣違ひの智慧で拵へられるものか。來いツ八」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
白痴
(
こけ
)
なだけです」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そいつは俺の狙ふ
壺
(
つぼ
)
だつたんだ、お玉は卒中か心の病で頓死したことにされると
此方
(
こつち
)
の仕事は樂だつたが、今となつては、
白痴
(
こけ
)
になり切つてゐるわけにも行くめえ、お玉の殺されたわけを
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
身體に
斑
(
ぶち
)
なく、舌にも眼にも何んの變りもなく、血が一
雫
(
しづく
)
も出てゐないとすると、——お粂さん、俺は
白痴
(
こけ
)
にされても宜いから、こんなことは氣がつきたくなかつたよ、あんまり
虐
(
むご
)
たらしい
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お勝手から平次と八五郎は
滑
(
すべ
)
り込むやうに丁子屋の屋根の下へ入つて居りました。
大袈裟
(
おほげさ
)
で、
白痴
(
こけ
)
おどかしな正面から入るよりは、
搦手
(
からめて
)
から攻めた方が、この城は樂に落せるやうな氣がしたのです。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
下手
(
へた
)
でも
白痴
(
こけ
)
でも幕府の御繪所を預かる狩野に頭を押へられ、衆愚の前に眞技倆を示す折もなく、
悶々
(
もん/\
)
の日を送つてをりましたが、その不平に加へてその日の
糧
(
かて
)
にも差支へる貧苦に打ち負かされて
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は
白痴
(
こけ
)
が大きな
鯰
(
なまず
)
でも釣つたやうな大
袈裟
(
げさ
)
な顏をするのです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
白痴
(
こけ
)
が鯉でも釣つたやうな勢で飛んで來ました。
銭形平次捕物控:295 万両息子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“白痴”の意味
《名詞》
白痴(はくち)
重度の精神薄弱。
《固有名詞》
ドストエフスキーの長編小説。
坂口安吾の短編小説。
(出典:Wiktionary)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
痴
常用漢字
中学
部首:⽧
13画
“白痴”で始まる語句
白痴者
白痴殿
白痴美
白痴脅
白痴奴
白痴児
白痴漢
白痴嚇
白痴威
白痴猿