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白痴
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はくち
ふりがな文庫
“
白痴
(
はくち
)” の例文
旧字:
白癡
厳
(
いか
)
めしい石門を潜ってだらしなく迷い込む瞬間から、私も一人の
白痴
(
はくち
)
のようにドンヨリしてしまう精神状態が気に入ったり、それに私は
母
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
浦子はこどものときにひどい脳膜炎を
患
(
わずら
)
ったため
白痴
(
はくち
)
であった。十九にもなるのに六つ七つの年ごろの智恵しかなかった。
汗
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
けれども、
白痴
(
はくち
)
、は言えなかった。また、自動車、は言えなかった。老人、これは言えた。正しく年老いた老人である。
老人と鳩
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「
白痴
(
はくち
)
の與吉だよ、——子供だし、智惠の遲い方だから、皆も氣がつかなかつたのだ、尤も細工をして、與吉に綱を切らせたのは母親のお高だが」
銭形平次捕物控:265 美しき鎌いたち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あれは関西で、
白痴
(
はくち
)
のことを言うんだよ」と言えば、沢村さんも、「そうとも、ボンチはつまりポンチと同じことじゃ。
阿呆
(
あほう
)
のことをいうんだぞ」
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
『では
私
(
わたくし
)
などは
徒
(
いたずら
)
に
苦
(
くるし
)
み、
不満
(
ふまん
)
を
鳴
(
なら
)
し、
人間
(
にんげん
)
の
卑劣
(
ひれつ
)
に
驚
(
おどろ
)
いたりばかりしていますから、
白痴
(
はくち
)
だと
有仰
(
おっしゃ
)
るのでしょう。』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
人も同じく多数の者が同種類の仕事に従事していても、仕事の能率の上に非常なる差があっても、
白痴
(
はくち
)
でなければ、みな一人前と
算
(
かぞ
)
えらるるであろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
なに、あの
小僧
(
こぞう
)
は、
白痴
(
はくち
)
のように見えて
小
(
こ
)
ざかしいところがあり、
悧巧
(
りこう
)
に見えて
腑
(
ふ
)
のぬけている
点
(
てん
)
がある。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
入費は、町中持合いとした処で、半ば
白痴
(
はくち
)
で——たといそれが、
実家
(
さと
)
と言う時、魔の魂が入替るとは言え——半ば
狂人
(
きちがい
)
であるものを、肝心火の元の用心は何とする。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
精神病院
(
せいしんびょういん
)
には、
女
(
おんな
)
や、
男
(
おとこ
)
の
白痴
(
はくち
)
がうようよしていました。
昼
(
ひる
)
も
夜
(
よる
)
も
見分
(
みわ
)
けがつかずに、
彼
(
かれ
)
らは
泣
(
な
)
いたり、わめいたり、
悲
(
かな
)
しんだり、また
声
(
こえ
)
をたてて
笑
(
わら
)
ったりしていました。
消えた美しい不思議なにじ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一人
(
ひとり
)
に
二人
(
ふたり
)
分の性格が出来ると同時に、他の一人は
白痴
(
はくち
)
になつてしまふ。その
径路
(
けいろ
)
を書いたものですが、外界には何も起らずに、内界に不思議な変化の起る所が、
頗
(
すこぶ
)
る巧妙に書いてある。
近頃の幽霊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ゆうべ、柿江のはいているぼろ
袴
(
ばかま
)
に眼をつけて、袴ほど今の世に無意味なものはない。袴をはいていると
白痴
(
はくち
)
の馬に乗っているのと同じで、腰から下は自分のものではないような気がする。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その顏付は
狂氣
(
きちがひ
)
じみた言葉よりも、遙かに反抗し難いものだつた。だが、今ひるむのは
白痴
(
はくち
)
しかあるまい。私は思ひきつて彼の激情の裏をかいた。私は彼の悲しみを避けなければならない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
声もなき
白痴
(
はくち
)
の児をば抱きながら入日を見るがごとくに
歩
(
あゆ
)
み
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「ははあ、すると
満更
(
まんざら
)
の
白痴
(
はくち
)
でもなかったんだね」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
佐々木基一
(
ささききいち
)
君より来信。「
白痴
(
はくち
)
」に就ての感想を語ってくれたもの。私が日記をつけてみようと思ったのは、この佐々木君の手紙のせいだ。
戯作者文学論:――平野謙へ・手紙に代えて――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
一行中の
朴拳闘
(
ぼくけんとう
)
選手が、この男をみるなり、「金徳一だ!」と
叫
(
さけ
)
び、
駆
(
か
)
けよって手を
握
(
にぎ
)
っていましたが、その男の表情は、
依然
(
いぜん
)
、
白痴
(
はくち
)
に近いものでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
大根畠の小町娘が、
白痴
(
はくち
)
の定吉に殺された事件(『人形の誘惑』參照)が、危く迷宮入りになりかけたとき、平次の助けで厄介な謎を解いたことのある喜三郎。
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さもなくては、その時、日吉が取った行動は、余りに
豪胆
(
ごうたん
)
すぎるし、
白痴
(
はくち
)
の
所作
(
しょさ
)
というしかなかった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
貴方
(
あなた
)
の
云
(
い
)
うジオゲンは
白痴
(
はくち
)
だ。』と、イワン、デミトリチは
憂悶
(
ゆうもん
)
して
云
(
い
)
うた。『
貴方
(
あなた
)
は
何
(
なん
)
だって
私
(
わたくし
)
に
解悟
(
かいご
)
だとか、
何
(
なん
)
だとかと
云
(
い
)
うのです。』と、
俄
(
にわか
)
に
怫然
(
むき
)
になって
立上
(
たちあが
)
った。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
また、男女間の
妬情
(
とじょう
)
に氏は
殆
(
ほとん
)
ど
白痴
(
はくち
)
かと思われる
位
(
くらい
)
です。が氏とて決して
其
(
それ
)
を全然感じないのではない
相
(
そう
)
ですが、それに
就
(
つ
)
いて
懸命
(
けんめい
)
になる先に氏は
対者
(
あいて
)
に許容を持ち得るとのことです。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
母親
(
ははおや
)
は、
自分
(
じぶん
)
の
子供
(
こども
)
が、
白痴
(
はくち
)
でないかと、いわれていると
気
(
き
)
がついたので
天女とお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
白痴
(
はくち
)
の
乞食
(
こじき
)
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ここに私の
従兄
(
いとこ
)
に当る男が住んでおり、女中頭の子供が
白痴
(
はくち
)
であった。私よりも五ツぐらい年上であったと思う。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「見えなかつたやうです、——さう/\、それから珍らしい事に
白痴
(
はくち
)
の與吉が、何んか手紙か何んかを持つて、壁隣の天童太郎親方のところへ行く樣子でした」
銭形平次捕物控:265 美しき鎌いたち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれど、うすい
朝陽
(
あさひ
)
をうけている紫の房からこぼれてくる
匂
(
にお
)
いは、官兵衛の面を酔うばかりつよく襲ってくる。彼は仰向いたまま、
白痴
(
はくち
)
のように口をあいて
恍惚
(
こうこつ
)
としていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は財力も
尽
(
つ
)
きるといっしょに
白痴
(
はくち
)
のようになって
行衛
(
ゆくえ
)
知れずになった。「
赫耶姫
(
かぐやひめ
)
!」G氏は創造する金魚につけるはずのこの名を呼びながら、
乞食
(
こじき
)
のような
服装
(
ふくそう
)
をして
蒼惶
(
そうこう
)
として去った。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
傴僂
(
せむし
)
のやうに思ひますが、別に
不具
(
かたは
)
な樣子はなく、竹のやうに長くて武骨な手足、
白痴
(
はくち
)
のやうに陰氣で無表情な顏、油つ氣のない
髷
(
まげ
)
、何處から見ても、お舟と一緒に置いて
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ふと——
白痴
(
はくち
)
かナ? と疑ってみたくもなった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
白痴
(
はくち
)
なのですか、これが」私は
訊
(
たず
)
ね返した。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まるで
白痴
(
はくち
)
のような人があったりする。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
下女のお紺は二十二三、少し
足
(
た
)
りない女とは聽きましたが、全くの
白痴
(
はくち
)
で、使ひ走りも覺束なく、
炊事
(
すゐじ
)
と掃除が精一杯、こんなのは反つて、お妾の下女には打つてつけかも知れません。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二十五六の立派な
恰幅
(
かつぷく
)
ですが、生れ乍らの
白痴
(
はくち
)
で、する事も、言ふ事も、皆んな定石が
外
(
はづ
)
れます。そのくせ馬鹿力があるので、いろ/\の仕事を手傳つて、町内の殘り物を貰つて暮してゐる男でした。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“白痴”の意味
《名詞》
白痴(はくち)
重度の精神薄弱。
《固有名詞》
ドストエフスキーの長編小説。
坂口安吾の短編小説。
(出典:Wiktionary)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
痴
常用漢字
中学
部首:⽧
13画
“白痴”で始まる語句
白痴者
白痴殿
白痴美
白痴脅
白痴奴
白痴児
白痴漢
白痴嚇
白痴威
白痴猿