こけ)” の例文
るとぞつとする。こけのある鉛色なまりいろ生物いきもののやうに、まへにそれがうごいてゐる。あゝつてしまひたい。此手このてさはつたところいまはしい。
幸「鯉こくなどは此処へはいのが来る、信州から来るのは不良いけねえのがあるという……これは結構……ウム鯉のこけなどを引いたのア不思議で、鱗がちっとも無いねえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
失敗しまつた。あんまり急いだもんだから、鰯のこけをふくのを、すつかり忘れちやつた。」
にんじんは、釣ってきた魚のこけを、今、はがしている最中だ。河沙魚かわはぜふな、それにすずきの子までいる。彼は、小刀こがたなでこそげ、腹を裂く。そして、二重ふたえきとおった気胞うきぶくろかかとでつぶす。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
しかもそのこけが燭台のにも紫に映ったので、みんなもあっと驚く。
半七捕物帳:44 むらさき鯉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こけの光のきらめきに白琺瑯はくはふらうを曇らせて
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
由「へえ、こりゃアどうも深い訳があるに違いないのでしょう、どうも此の鯉のこけばかりを煮て出すなんてえのは恐れ入りました、不思議で、どういう訳で、えゝ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そういう時、こけを取るのは君だよ。それから、井戸から水を汲み上げるのもね。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
こけの光のきらめきに白琺瑯はくほうろうを曇らせて
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
「それも夢だけのことでございましたら、わたくしもそれほどには気にかけないのでございますが、実はけさになってみますと、枕もとに魚のこけのようなものが一枚落ちていましたので……。それは紫がかった金色こんじきに光っているのでございます」
半七捕物帳:44 むらさき鯉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
女「へえ、これはこけは引いてありますから」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)