“苔蘚(こけ)” の例文
要垣(かなめがき)の緑葉(みどりば)に囲(かこま)れた墓があるかと思ふと、深い苔蘚(こけ)に封じられた墓が現はれて来た。新しい墓もあれば、古い墓もある。或は五輪塔型、或は多宝塔型、其他いろ/\な型がある。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
雨の日には、梢(こずえ)から雨滴(あまだ)れがボタボタ落ちて、苔蘚(こけ)の生えた坊主の頭顱(あたま)のような墓石(はか)は泣くように見られた。ここの和尚さんもやがてはこの中にはいるのだなどと清三は考えた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)