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蘚
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こけ
ふりがな文庫
“
蘚
(
こけ
)” の例文
胸傍
(
むなわき
)
の小さな
痣
(
あざ
)
、この青い
蘚
(
こけ
)
、そのお米の乳のあたりへ
鋏
(
はさみ
)
が響きそうだったからである。辻町は一礼し、墓に向って、
屹
(
きっ
)
といった。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は堂を廻つてゐる高縁に蹲んで
蘚
(
こけ
)
の上を眺めてゐた。足の裏に板の
木目
(
もくめ
)
を氣持ちよく感じながら夜の來るのを待つた。山蟻が柱を傳つて登つて來た。
草の中
(旧字旧仮名)
/
横光利一
(著)
水に近き郷なるこれが枝には
蘚
(
こけ
)
の付き易くして、ひとしほのおもむきを増すも嬉し。狭き庭にては高き窓の下、
蔀
(
したみ
)
のほとり、あるは檐のさきなどの矮き樹。
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
また生え乱れる八重
葎
(
むぐら
)
にも手をつけぬままの、荒々しく峨々たる山の急斜面に置かれ、石の土台さえも地衣や
蘚
(
こけ
)
に被われ、岩の裂目からは美しい
羊歯
(
しだ
)
の葉が
萌
(
も
)
え出ている。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
冷たい
楓
(
かえで
)
の肌を見ていると、ひぜんのようについている
蘚
(
こけ
)
の模様が美しく見えた。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
▼ もっと見る
ひよつと覗き込んだ目と同時に、足が踏み込んだ庭らしい所は、やはり黴くさい、
蘚
(
こけ
)
らしい物ものつて居らぬ、何となく、醤油くさく味噌くさい、土も赤ちやけ、煤ぼけた地面であつた。
戞々たり 車上の優人
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
姉は間もなく裏の山へ行こうといい出した。二人は山へ来ると
蘚
(
こけ
)
の上へ足を投げ出して坐った。真下に湖が見えた。
錆色
(
さびいろ
)
の帆が一点水平線の上にじっとしていた。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
“蘚(
苔
)”の解説
苔(こけ、蘚、英: moss)・コケは地表や岩の上にはいつくばるように成長し、広がるような植物的なもの。狭義のコケは苔類、蘚類、ツノゴケ類の総称としてコケ植物を指すが、コケはそれに加え菌類と藻類の共生体である「地衣類」や、一部のごく小型の維管束植物や藻類などが含まれる。語源は「木毛」にあり、元々は樹の幹などに生えている小さな植物の総称だったとする説がある。自生している又は栽培されている苔は日本などで鑑賞の対象となるほか、イワタケなど食用の苔もある。
(出典:Wikipedia)
蘚
漢検1級
部首:⾋
20画
“蘚”を含む語句
蘚苔
苔蘚
光蘚
水蘚
芥蘚病
蘚伯
蘚伯秘剤
蘚碧
蘚苔類
銭蘚苔