さしあげた腕さしあげたうで
見渡すかぎり、一面に頭の海である。高くさし上げた腕の森が、波に半身を露はす浮標のやうに突出てゐる。跪いて祈る一大民衆だ。 さし上げた腕の間から皆めいめいに上向の頭がみえる。海藻や地衣がこの浮標に垂下がつてゐる。東から吹く風に、この髮の毛がふ …