地衣こけ)” の例文
岩ぶすまという地衣こけいているばかり、この方面から常念を望むと、前の婉容えんようはなくなって、見上げるように急峻に尖っている。
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
さし上げた腕の間から皆めいめいに上向うはむきの頭がみえる。海藻かいさう地衣こけがこの浮標うき垂下たれさがつてゐる。東から吹く風に、この髮の毛がふくらんで、おのづと拍子をとつて波動してゐる。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
この地衣こけのために、いははいろ/\うつくしい模樣もようもんあらはしてゐます。日本につぽんでは木曾きそ御嶽おんたけこまたけはこのたい位置いちがよくわかります。このたい上部じようぶはそれこそ地衣こけもないはだかのまゝの岩石がんせきです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
たゞはだかいはうへ地衣こけ固着こちやくしてゐるきりです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)