“ともしび”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トモシビ
語句割合
燈火45.0%
17.8%
17.4%
灯火12.5%
燭火2.0%
燈灯1.6%
1.6%
燈光0.8%
軒燈0.4%
灯影0.2%
(他:4)0.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
花卉くわきかをり、幽かなる樂聲、暗き燈火ともしびやはらかなる長椅は我を夢の世界にいざなひ去らんとす。
天の奧より冠の如き輪形わがたを成せる一の燈火ともしび降りてこの星を卷き、またこれが周圍まはりをめぐれり 九四—九六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
雨に風に散りおくれて、八重に咲く遅きを、夜にけん花の願を、人の世のともしびが下から朗かに照らしている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
帆村の命は、乱暴者のトラ十の前に、今や風前のともしび同様である。彼の命と、貴重なX塗料とが同時に失われそうになってきた。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とただ懐かしげに嬉しそうにいう顔を、じっと見る見る、ものをもいわず、お民ははらはらと、薄曇るともしびの前に落涙した。
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もうよかろう」と心でいって、四辺あたりひそかに見廻した時には、追分宿は山に隠れ、ともしび一つ見えなかった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「まあ、恐れ入ります」と藤さんは坐る。灯火ともしびに見れば、油絵のようなあでやかな人である。顔を少し赤らめている。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
山間の自分の村落に近づくにしたがって、薄い夕闇を透して灯火ともしびの影がなつかしい色を放ってちらちらと見え出してくる。
茸をたずねる (新字新仮名) / 飯田蛇笏(著)
李張は燭火ともしびの前に浮き出た花のような姿を見たうえに、奥ゆかしいその物ごしを見せられてますますその女がしたわしくなった。
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
よる燭火ともしびきて、うれしげなあしためが霧立きりたやまいたゞきにもうあし爪立つまだてゝゐる。
いつのまにやら一点の燈灯ともしびもなく、阿波守を初め三卿の人々は、物音と同時にすばやく奥へ退座たいざしてしまったらしい。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
燈灯ともしびのない畳には、月明りが白くしこんでいた。小次郎はそこへあがるとすぐ、酔った体を仰向けに横たえて、手枕をかった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
壁を漏れて照る月は常住じやうぢゆうともしび、晝は御室おむろ太秦うづまさ、梅津の邊を巡錫じゆんしやくして、夜に入れば
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
若し夫れ然らばいかなる日またはいかなるともしびぞや、汝がその後かの漁者に從ひて帆を揚ぐるにいたれるばかりに汝の闇を破りしは。 六一—六三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
四方よも景色けしきながめてつたが、其内そのうちにネープルスかう燈光ともしびかすかになり
先刻せんこくはるか/\の海上かいじやう朦乎ぼんやり三個さんこ燈光ともしびみとめたあひだこそ
渠は力の抜けた足を急がせて、支庁坂をりきつたが、左に曲ると両側の軒燈ともしび明るい真砂町の通衢とほり
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
渠は力の拔けた足を急がせて、支廳坂を下りきつたが、左に曲ると兩側の軒燈ともしび明るい眞砂町の通衢とほり、二町許りで、トある角に立つた新築の旅館の前まで來ると、渠は遽かに足を緩めて、十五六間が程を二三度行きつ戻りつして居たが
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ただ、内へ帰るのを待兼ねて、大通りの露店の灯影ともしびに、歩行あるきながら、ちらちらと見た、絵と、かながきの処は、——ここで小母さんの話した、——後のでない、前の巳巳巳の話であった。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と是から盥へ水を汲んで持って来てくれましたから足を洗って奥へ通りまして、重助は仏壇へ灯明ともしびけて線香を立て、
燃えさしの燐寸マッチをト棄てようとして水にかざすと、ちらちらと流れる水面の、よそ点燈ともしびに色を分けて、ひな松明たいまつのごとく、軸白く桃色に、輝いた時、彼はそこに、姉を思った。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
燃火ともしびのごとき』(つまり教会のごときだ)大いなる星が『水の源泉みなもとに落ちて水は苦くなりぬ』だ。
あたかも人魂が迷うようにその青色の燈の灯ともしびは、右に左に静かに動くとまた闇の中へ消えて行った。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)