“ともしび”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トモシビ
語句割合
燈火45.8%
17.6%
17.0%
灯火12.5%
燭火1.9%
燈灯1.5%
1.5%
燈光0.8%
軒燈0.4%
灯影0.2%
灯明0.2%
点燈0.2%
燃火0.2%
燈の灯0.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
父親ちちおや行方ゆくえがわからなくなってから、二人ふたりは、毎晩まいばん仏壇ぶつだん燈火ともしびをあげておがみました。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
宇宙人生のかくれたる意義を掻き起すととなへながら、油乾ける火盞ほざらに暗黒の燈火ともしびを點ずるが如き痴態を執るものではなかつた。
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
はる彼方かなたに、ともしびまたたいて、私の方はこの村道に沿ってさえ行けば、やがて教えられた村の宿屋にも行き着くでしょう。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
十数名の黒衣の人物は一せいに起立した。「赤毛のゴリラ」の顔は見る見る土のように色褪いろあせていった。ああ生命は風前のともしびである。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
されども夕に、ともしびの紅なるもの波にくだけて、かれは片島(加部島の一端)、これは殿の浦、呼子とあひ対して、絃歌の興は舟人の酔をたすけたり。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
夜々、秋の気は蕭索しょうさくとして、冷涼な風はとばりをゆすり、秘壇のともしび紅帋金箋こうしきんせんの祭華をもそよそよ吹いた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お誓い遊ばしたではござりませぬか——いつの日いかなる時を問わず闇の夜赤き灯火ともしびを点じ湖水をぎ来る船にしてもし三点鐘を打つ時は……
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
兀坐寂寞こつざじやくまくたる或夜は、灯火ともしびのかゝげ力も無くなりてまる光りを待つ我身と観じ、徐歩じよほ逍遥せうえうせる或時は
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
このごろある人、用事ありて駿州すんしゅう興津おきつに赴きけるに、線路の傍らに当たれる庵原郡倉沢村の天神社に、無数の燭火ともしびともりて石段に人影の見えたるより、この深更になにごとならんと
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
淋しさを慰さめる、人間の生身の相手は、酒のみにあらずと云ふ考へも浮び、老人の最後の燭火ともしびも欲しいと云ふ、いやしい欲も時々ほのめく時がないでもない。
崩浪亭主人 (旧字旧仮名) / 林芙美子(著)
だのに私には、遥か彼方で瞬いてくれる燈灯ともしびがないのです。
と、冬の街路に炉辺ろへん燈灯ともしびを恋うる蕪村は、裏街を流れる下水を見て
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
獣油のともしびに点されて仄かに見えるは寝台である。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ともしびと共に、それら異体な人物が、二十人余りずらりと居ならんだ。伝法あぶれ者揃いでも、こういう席となると一種厳粛な気分が漂い、森として無駄口一つ叩く者がない。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その燈光ともしびえ、同時どうじに、このふね主長しゆちやうともいふべき船長せんちやう船橋せんけうより墮落ついらくして
星明りにうつすりと浮んだ阿寒山あかんざんの雪が、塵も動かぬ冬の夜の空を北に限つて、川向かはむかひ一区域ひとしきり燈光ともしびを群がらせた停車場から、鋭い汽笛が反響も返さず暗をつんざいた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
渠は力の拔けた足を急がせて、支廳坂を下りきつたが、左に曲ると兩側の軒燈ともしび明るい眞砂町の通衢とほり、二町許りで、トある角に立つた新築の旅館の前まで來ると、渠は遽かに足を緩めて、十五六間が程を二三度行きつ戻りつして居たが
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
渠は力の抜けた足を急がせて、支庁坂をりきつたが、左に曲ると両側の軒燈ともしび明るい真砂町の通衢とほり
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ただ、内へ帰るのを待兼ねて、大通りの露店の灯影ともしびに、歩行あるきながら、ちらちらと見た、絵と、かながきの処は、——ここで小母さんの話した、——後のでない、前の巳巳巳の話であった。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と是から盥へ水を汲んで持って来てくれましたから足を洗って奥へ通りまして、重助は仏壇へ灯明ともしびけて線香を立て、
燃えさしの燐寸マッチをト棄てようとして水にかざすと、ちらちらと流れる水面の、よそ点燈ともしびに色を分けて、ひな松明たいまつのごとく、軸白く桃色に、輝いた時、彼はそこに、姉を思った。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
燃火ともしびのごとき』(つまり教会のごときだ)大いなる星が『水の源泉みなもとに落ちて水は苦くなりぬ』だ。
あたかも人魂が迷うようにその青色の燈の灯ともしびは、右に左に静かに動くとまた闇の中へ消えて行った。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)