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燈灯
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ともしび
ふりがな文庫
“
燈灯
(
ともしび
)” の例文
燈灯
(
ともしび
)
のない畳には、月明りが白く
映
(
さ
)
しこんでいた。小次郎はそこへあがるとすぐ、酔った体を仰向けに横たえて、手枕をかった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、この
出來事
(
できごと
)
は
私
(
わたし
)
の
眠氣
(
ねむけ
)
を
瞬間
(
しゆんかん
)
に
覺
(
さ
)
ましてしまつた。
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を
見透
(
みすか
)
すと、
人家
(
じんか
)
の
燈灯
(
ともしび
)
はもう
見
(
み
)
えなくなつてゐた。F
町
(
まち
)
は
夢中
(
むちう
)
で
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎてしまつたのだつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
運命の
鞭
(
むち
)
が、
小止
(
おや
)
みもなしに私の身にふりかかって、時にはもう、ほとほと我慢のならぬほど、つらい時もあります。だのに私には、遥か彼方で瞬いてくれる
燈灯
(
ともしび
)
がないのです。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と、冬の街路に
炉辺
(
ろへん
)
の
燈灯
(
ともしび
)
を恋うる蕪村は、裏街を流れる下水を見て
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
人
佗
(
わび
)
て
淋
(
さみ
)
しき
宵
(
よい
)
を、ただ一点の
明
(
あか
)
きに
償
(
つぐの
)
う。
燈灯
(
ともしび
)
は
希望
(
のぞみ
)
の影を招く。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
いつのまにやら一点の
燈灯
(
ともしび
)
もなく、阿波守を初め三卿の人々は、物音と同時にすばやく奥へ
退座
(
たいざ
)
してしまったらしい。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは
乳色
(
ちゝいろ
)
の
夜靄
(
よもや
)
が
町
(
まち
)
の
燈灯
(
ともしび
)
をほのぼのとさせるばかりに
立
(
た
)
ち
罩
(
こ
)
めた
如何
(
いか
)
にも
異郷
(
いきやう
)
の
秋
(
あき
)
らしい
晩
(
ばん
)
だつたが、
僕
(
ぼく
)
は
消息通
(
せうそくつう
)
の一
友
(
いう
)
と
連
(
つ
)
れ
立
(
た
)
つて
上海
(
シヤンハイ
)
の
町
(
まち
)
をさまよひ
歩
(
ある
)
いた。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
もちろん
燈灯
(
ともしび
)
をともしては館の者に気づかれる
惧
(
おそ
)
れがあるから、明りもない
閨戸
(
ねやど
)
の
帳
(
とばり
)
を
空
(
うつ
)
ろにしては
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
左手
(
ひだりて
)
の
方
(
はう
)
に
人家
(
じんか
)
の
燈灯
(
ともしび
)
がぼんやり
光
(
ひか
)
つてゐた——F
町
(
まち
)
かな‥‥と
思
(
おも
)
ひながら
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を
見透
(
みすか
)
すと、
街道
(
かいだう
)
に
沿
(
そ
)
うて
流
(
なが
)
れてゐる
狹
(
せま
)
い
小川
(
をがは
)
の
水面
(
みづも
)
がいぶし
銀
(
ぎん
)
のやうに
光
(
ひか
)
つてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
長浜城の
狭間
(
はざま
)
にはもう
燈灯
(
ともしび
)
がついて、夜となった町の辻には、いつまでもがやがや人が
躁
(
さわ
)
いでいた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
風
(
かぜ
)
はなかつた。
空氣
(
くうき
)
は
水
(
みづ
)
のやうに
重
(
おも
)
く
沈
(
しづ
)
んでゐた。
人家
(
じんか
)
も、
燈灯
(
ともしび
)
も、
畑
(
はたけ
)
も、
森
(
もり
)
も、
川
(
かは
)
も、
丘
(
をか
)
も、そして
歩
(
ある
)
いてゐる
我我
(
われわれ
)
の
體
(
からだ
)
も、
灰
(
はひ
)
を
溶
(
とか
)
したやうな
夜霧
(
よぎり
)
の
海
(
うみ
)
に
包
(
つつ
)
まれてゐるのであつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
言
(
い
)
ふまでもない、
四馬路
(
スマロ
)
は
東京
(
とうきやう
)
の
銀座
(
ぎんざ
)
だ。が、
君子國
(
くんしこく
)
日本
(
にほん
)
のやうに四
角
(
かく
)
四
面
(
めん
)
な
取締
(
とりしまり
)
などもとよりあらう
筈
(
はず
)
もなく、それは
字義通
(
じぎどほ
)
りの
不夜城
(
ふやじやう
)
だ。
人間
(
にんげん
)
は
動
(
うご
)
く。
燈灯
(
ともしび
)
は
映發
(
えいはつ
)
する。
自動車
(
じどうしや
)
は
行
(
ゆ
)
く。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
燈
部首:⽕
16画
灯
常用漢字
小4
部首:⽕
6画
“燈”で始まる語句
燈火
燈
燈籠
燈明
燈光
燈影
燈心
燈台
燈芯
燈下