燈光ともしび)” の例文
新字:灯光
星明りにうつすりと浮んだ阿寒山あかんざんの雪が、塵も動かぬ冬の夜の空を北に限つて、川向かはむかひ一区域ひとしきり燈光ともしびを群がらせた停車場から、鋭い汽笛が反響も返さず暗をつんざいた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
不幸ふこうにしてわたくし想像さうざうあやまらなければそれこそ大變たいへんいま本船ほんせんとかの奇怪きくわいなるふねとのあひだだ一海里かいり以上いじやうたしかへだゝつてるが、あの燈光ともしびのだん/\と明亮あかるくなる工合ぐあひても
段〻と左へ燈光ともしびを移すと、大中小それぞれの民家があり、老人としよりや若いものや、蔬菜そさいになっているものもあれば、かさを張らせて威張いばって馬にっている官人かんじんのようなものもあり
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
段〻と左へ燈光ともしびを移すと、大中小それ/″\の民家があり、老人としよりや若いものや、蔬菜を荷つてゐるものもあれば、かさを張らせて威張つて馬につてゐる官人のやうなものもあり
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
灣口わんこうづるまで、わたくし春枝夫人はるえふじん日出雄少年ひでをせうねんとを相手あひて甲板上かんぱんじやうたゞずんで、四方よも景色けしきながめてつたが、其内そのうちにネープルスかう燈光ともしびかすかになり、夜寒よざむかぜむやうにおぼえたので
れいのビールだる船長せんちやう此時このときわたくし頭上づじやうあた船橋せんけううへつて、しきりにあやしふね方向ほうかう見詰みつめてつたが、先刻せんこくはるか/\の海上かいじやう朦乎ぼんやり三個さんこ燈光ともしびみとめたあひだこそ、途方とほうことつてつたものゝ