“ひとも”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
32.3%
一揉32.3%
火点12.9%
点火6.5%
火燈3.2%
灯点3.2%
3.2%
燈点3.2%
3.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼の顏は再びひともされるのを待つてゐる消えたラムプを思ひ出させた——そして、あゝ! その活々いき/\とした顏の輝きを今かゞやかすことの出來るものは彼自身ではない。
と、親子のあいだに一揉ひともめくらいはあるのが世間の通例なのに、この母子おやこはそうでない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
風邪をひいて寝ていた私は、火点ひともし頃になってようやく目をさました。周囲を見廻すと人がいないし、外に出て見ても変に往来は人通りがなく、何処の家も大変静粛であった。
知己を番町の家に訪えば主人あるじは不在、留守居の者より翻訳物を受取ッて、文三がと来たみちを引返して俎橋まないたばしまで来た頃はモウ点火ひともし頃で、町家では皆店頭洋燈みせランプともしている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いつしか迫ってくる夕闇に、墓場を辞して火燈ひともし頃のO市に帰った。帰宅するまえ例のカフェに寄った。例の娘に「おまえ、大西博士を知ってるの」と聞いたら黙って頭を振った。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
今日きょうの彼は灯点ひともし頃から早く宅へ帰りたがっていた。叔父の家で名ばかりの晩飯を食ったのも仕方なしに食ったのであった。進みもしない酒を少し飲んだのも小林に対する義理に過ぎなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ここにも、そこにも、ふらふらと、春の日をうちへ取って、白くひともしたらしく、真昼浮出てもうと明るい。いずれも御泊り木賃宿きちんやど
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
風呂場にれば、一箇ひとりの客まづ在りて、燈点ひともさぬ微黯うすくらがり湯槽ゆぶねひたりけるが、何様人のきたるにおどろけるとおぼしく、はなはせはしげに身を起しつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
こしもとをしてはうきひともたいまつごとくにしてあまねせしむ。令史れいしあわまどひて、かたはらにありおほいなるかめなか匐隱はひかくれぬ。須臾しばらくしてつまはやうまりてゆらりと手綱たづな掻繰かいくるに、はうきしたり、こしもとるべきものなし。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)