とぼ)” の例文
新字:
三十にもならうとするお糸さんは、年齡としの半分も下の姪から愛情をいつも受けてゐた。その時も、糠星ぬかぼしのやうな眼に、急に火がとぼつて
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
わたくしが光照院の墓の文字を讀んでゐるうちに、日はやうやく暮れむとした。わたくしのために香華を墓に供へたおうなは、「蝋燭らうそくとぼしてまゐりませうか」
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
お時 おゝ、暗くなつたのに、まだ行燈もとぼさずに……。唯今持つてまゐります。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)