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灯
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ひ
ふりがな文庫
“
灯
(
ひ
)” の例文
旧字:
燈
雪
(
ゆき
)
の
中
(
なか
)
を
此
(
こ
)
の
紅鯛
(
べにだひ
)
綺麗
(
きれい
)
なり。
此
(
こ
)
のお
買初
(
かひぞ
)
めの、
雪
(
ゆき
)
の
眞夜中
(
まよなか
)
、うつくしき
灯
(
ひ
)
に、
新版
(
しんぱん
)
の
繪草紙
(
ゑざうし
)
を
母
(
はゝ
)
に
買
(
か
)
つてもらひし
嬉
(
うれ
)
しさ、
忘
(
わす
)
れ
難
(
がた
)
し。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
殊に
歳暮
(
さいぼ
)
の夜景の如き
橋上
(
けうじやう
)
を往来する車の
灯
(
ひ
)
は沿岸の
燈火
(
とうくわ
)
と相乱れて
徹宵
(
てつせう
)
水の上に
揺
(
ゆらめ
)
き動く
有様
(
ありさま
)
銀座街頭の
燈火
(
とうくわ
)
より
遥
(
はるか
)
に美麗である。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
かうしたものさびれた町の夜の
灯
(
ひ
)
も、おくみには何とはなく、自分にしたしい或物の含まれてゐるやうな、小なつかしい晩であつた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
彼女は、
灯
(
ひ
)
もない廊下の壁に、寄り添いながら立っていた。父が、寝室へ入るまでは、何うにも父の傍を離れられないように思った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
述
(
のべ
)
用意
(
ようい
)
の
雨具
(
あまぐ
)
甲掛
(
かふかけ
)
脚絆
(
きやはん
)
旅拵
(
たびごしら
)
へもそこ/\に
暇乞
(
いとまごひ
)
して
門
(
かど
)
へ立出
菅笠
(
すげがさ
)
さへも
阿彌陀
(
あみだ
)
に
冠
(
かぶ
)
るは
後
(
あと
)
より
追
(
おは
)
るゝ
無常
(
むじやう
)
の
吹降
(
ふきぶり
)
桐油
(
とうゆ
)
の
裾
(
すそ
)
へ提灯の
灯
(
ひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
松をすかしてチラチラ見えるいくつもの
灯
(
ひ
)
は、
館
(
たち
)
の
高楼
(
こうろう
)
であり
武者長屋
(
むしゃながや
)
であり
矢倉
(
やぐら
)
の
狭間
(
はざま
)
であり、
長安歓楽
(
ながやすかんらく
)
の
奥殿
(
おくでん
)
のかがやきである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は恐るる色なく、木立ちのあいだをくぐりぬけて、古廟のうちへ踏み込むと、
灯
(
ひ
)
ひとつの光りもないので、あたりは真の闇であった。
中国怪奇小説集:12 続夷堅志・其他(金・元)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私
(
あたし
)
の
家
(
うち
)
でも、いくつ弓張りや
手丸提燈
(
てまるちょうちん
)
に
灯
(
ひ
)
を入れて出してやったかわからない。議事堂です、議事堂ですと、
各自
(
みんな
)
が口々に言った。
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
主君である人の、
肱
(
かいな
)
を
枕
(
まくら
)
にして
灯
(
ひ
)
をながめた
眼
(
め
)
つき、髪のこぼれかかった額つきが
貴女
(
きじょ
)
らしく
艶
(
えん
)
で、西の対の夫人によく似ていた。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
博士は椅子から立って、西側の窓の
鎧扉
(
よろいど
)
をがらがらと明けた。——外は初冬の寒い風で、高台の街々はもう大方は
灯
(
ひ
)
が消えている。
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
山の下の多くの飲食店や、
商家
(
あきないや
)
には
灯
(
ひ
)
が青黄色い柳の色と一つに流れて、そこを動いている電車や群衆の影が、夢のように動いていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
向うに心斎橋筋の
大丸
(
だいまる
)
の
灯
(
ひ
)
がちらちらしてたのん覚えてますけど、そこを大丸の前まで行かんと、太左衛門橋筋南い曲った思うとこで
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
宮川と
汐合川
(
しおあいがわ
)
の流れ出したところが長く
洲
(
す
)
になっていました。大湊の町の町並は
点
(
とも
)
しつらねた人家の
灯
(
ひ
)
で
丁字形
(
ていじがた
)
になっていました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
是
(
これ
)
等が黄色な
灯
(
ひ
)
で
照
(
てら
)
されて居るのを私は云ひ知れない不安と恐怖の目で見て居るのであつた。
終
(
しま
)
ひには両手で顔を覆ふてしまつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
いつもより
光沢
(
つや
)
の好い頬を
灯
(
ひ
)
に照らして、湯の
温
(
ぬくもり
)
のまだ抜けない
襟
(
えり
)
を少し開けるように
襦袢
(
じゅばん
)
を重ねていた。長い襟首がよく見えた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
町々に
灯
(
ひ
)
がともって、寒い
靄
(
もや
)
と煙との間を労働者たちが疲れた五体を引きずりながら歩いて行くのにたくさん出あっているだろう。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
十七ぐらいでしょうか、こう
灯
(
ひ
)
に近く、話などをしているところを見ると、かわいらしさ以上に、この少女の聡明さに引きつけられます。
九つの鍵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
爺はゆうべ消し忘れた
枕
(
まくら
)
もとの置ランプを見ますと、いつの間にか
灯
(
ひ
)
は消えてゐました。爺は手をのばして、ランプ
壺
(
つぼ
)
を揺つて見ました。
天童
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
……勤行はまだ始まっていなかった。一人の尼僧は聖像屏の傍に沿うて
燭台
(
しょくだい
)
に
灯
(
ひ
)
を入れて廻り、もう一人は枝つき燭架に灯を入れていた。
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
最早
(
もはや
)
、
茜
(
あかね
)
さえ
褪
(
あ
)
せた空に、いつしか
I岬
(
アイみさき
)
も溶け込み、サンマー・ハウスの
灯
(
ひ
)
を写すように、澄んだ夜空には、淡く銀河の瀬がかかる——。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
この町の
灯
(
ひ
)
を遠くから見ながらくるときは、林太郎の目にはこの町がおとぎ話の
竜宮
(
りゅうぐう
)
のように美しいところに思われたのでした。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
御堂は狭からぬに
灯
(
ひ
)
は蛍ほどなり、灯の高さは高し、互の程は隔たりたり、此方を彼方は有りとも知らず、彼方を此方は能くも見得ねば
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
阿濃
(
あこぎ
)
は、窓を離れて、その下にうずくまりながら、結び燈台のうす暗い
灯
(
ひ
)
にそむいて、腹の中の子を慰めようと、細い声で歌をうたった。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いうまも丹三、どどどどうん、と階下へおりて、ぱっと外へ出るが早いか、仲間を呼びに、庭木のむこうに
灯
(
ひ
)
のもれている部屋へ走った。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
義太夫
(
ぎだゆう
)
音楽でも時とともに少しずつその形式を進化させて行けば「モロッコ」や「
街
(
まち
)
の
灯
(
ひ
)
」の
浄瑠璃化
(
じょうるりか
)
も必ずしも不可能ではないであろう。
生ける人形
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして、その
翳
(
かげ
)
が次第に暗さを加えて、はては光子の雛段にも及んで来ると、雪洞の
灯
(
ひ
)
がドロリとしたぬくもりで覆われてしまうのだった。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そこにある電話の口も
把手
(
ハンドル
)
も、電話帳も、その狭い室にさし込んで来る
灯
(
ひ
)
の光線も何も彼もすべて
喜悦
(
よろこび
)
に輝いてゐるやうにかれには思へた。
時子
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
私は阪本さんのために珍しく笑はせられながら、床の間の
玩具棚
(
おもちやだな
)
を
灯
(
ひ
)
の光で見ようとして
行
(
ゆ
)
くのです。下の棚はがら
空
(
あき
)
になつて居るのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
電車の音、広告塔の
灯
(
ひ
)
、街路樹、さういふものをあとにして、お涌はひたすら暗い道へ道へと自分の今の気持ちに沿ふところを探し歩いた。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
夕方ちかく、お母さまは、しずかに二階の洋間にはいっていらして、パチと電燈に
灯
(
ひ
)
をいれて、それから、ベッドのほうに近寄って来られ
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
趙家の親子は
家
(
うち
)
に入って
灯
(
ひ
)
ともしごろまで相談した。趙白眼も
家
(
いえ
)
に帰るとすぐに腰のまわりの搭連をほどいて女房に渡し、箱の中に
蔵
(
おさ
)
めた。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
この、ものものしい、暁の
灯
(
ひ
)
の祭典は、港の周辺のどこからでも望まれる。各所から、数千の好奇の視線が、三番ブイに、集中されていた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
甲板
(
かんぱん
)
に出てみると、まっくらな海上に、左舷の方にあたって赤と青との
灯
(
ひ
)
がみえた。その灯はだんだんとこっちに近づいてくるのがわかった。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
思わず
歩哨
(
ほしょう
)
が声を立てようとしたとき、それらの遠くの
灯
(
ひ
)
はフッと一時に消えた。まるで今見たことが夢だったかのように。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
このとき、
勇
(
ゆう
)
ちゃんは
足
(
あし
)
もとの
土
(
つち
)
を
拾
(
ひろ
)
って、
青
(
あお
)
い
灯
(
ひ
)
を
目
(
め
)
あてに
投
(
な
)
げました。すると、
青
(
あお
)
い
灯
(
ひ
)
が
動
(
うご
)
いて、
白
(
しろ
)
い
着物
(
きもの
)
がこちらへ
近寄
(
ちかよ
)
ってきました。
二百十日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
村へ着いたのはもう
灯
(
ひ
)
ともし
頃
(
ごろ
)
だった。そして、家々の戸口や窓から洩れる黄ろい光を見た時の嬉しさを、私は決して忘れることがあるまい。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
それから女どもに取巻かれて古木学士と抱き合いながら踊っているうちに、部屋中の
灯
(
ひ
)
が突然虹のようにギラギラと輝き出したように見えた。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……ちゃんと隠れる処が出来ているの。……今
灯
(
ひ
)
を点して見せて貰ったら、ずうっと奥の方の
物置室
(
ものおき
)
の座板の下に畳を敷いて座敷があるの……
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
垣根
(
かきね
)
の外から
覗
(
のぞ
)
いて見ると、家の中には、まだ
灯
(
ひ
)
がついてなくて、縁側のすのこの上で武士風の男が一心に笛を吹いてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
明るく
灯
(
ひ
)
の入つた
市街
(
まち
)
には、自分の頭を
庇
(
かば
)
ひ立てるやうにして、尻目に
他人
(
ひと
)
の帽子を
覗
(
ねら
)
つてゐる人達がうようよしてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
真鍮
(
しんちゅう
)
の潰れた
煙管
(
きせる
)
を出して行燈の戸を上げて火をつけようと思うが、酔って居て手が
慄
(
ふる
)
えておりますから
灯
(
ひ
)
が消えそう
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「われわれはおぼれて死ぬことはないだろう」とかれはやがて
静
(
しず
)
かに言った。「ランプの
灯
(
ひ
)
を見なさい。ずいぶん心細くなっているではないか」
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
夕暮時に脚立を担いだ点灯夫が、蝙蝠のやうに駆け廻つて
灯
(
ひ
)
を入れてゆく
門
(
かど
)
々の
瓦斯灯
(
オイル・ランプ
)
がもはや細々として今にも消えかゝりさうな時刻であつた。
サクラの花びら
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
灯
(
ひ
)
のついていない
部屋
(
へや
)
は
暗
(
くら
)
かった。ただ
赤々
(
あかあか
)
とさかんに
燃
(
も
)
えている
暖炉
(
だんろ
)
の火が、あたりをぼんやりと照らしだしていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
水に映って、それは
閑雅
(
かんが
)
な
灯
(
ひ
)
のちらちらであろうと思えた、この支流である飛騨川の峡谷はまた本流の蘇川峡とは別趣の
気韻
(
きいん
)
をもって私に迫った。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
灯
(
ひ
)
の蔭から六十近い
爺
(
おやじ
)
が顔を出して一寸余を見たが、直ぐ
団扇
(
うちわ
)
でばたばたやりはじめた。後の方には車が二台居る。車夫の一人は
鼾
(
いびき
)
をかいて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
するうち、あかりはずんずんはっきりしてきて、ぱあっとてりだしたとおもうと、そこはどろぼうの家で、中にはこうこうと
灯
(
ひ
)
がともっていました。
ブレーメンの町楽隊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
有明の行灯の
灯
(
ひ
)
に照らされた、怒った眼で此方を見ている母の顔があるばかりで、べつに怪しいものの姿はなかった。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
尾田はさっきから松林の中に
佇立
(
ちょりつ
)
してそれらの
灯
(
ひ
)
を眺めていた。悲しいのか不安なのか恐ろしいのか、彼自身でも識別できぬ異常な心の状態だった。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
おもく
落
(
お
)
ちた
油
(
あぶら
)
を
透
(
す
)
かして
見
(
み
)
たが、さてどうやらそれがうまく
運
(
はこ
)
ぶと、これも
足
(
あし
)
の
先
(
さき
)
で
探
(
さぐ
)
り
出
(
だ
)
した
火口
(
ほくち
)
を
取
(
と
)
って、やっとの
思
(
おも
)
いで
行燈
(
あんどん
)
に
灯
(
ひ
)
をいれた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
灯
常用漢字
小4
部首:⽕
6画
“灯”を含む語句
提灯
灯火
灯明
鬼灯
小提灯
灯影
高張提灯
大提灯
弓張提灯
遠灯
紅提灯
鬼灯提灯
岐阜提灯
電灯
御灯
酸漿提灯
挑灯
灯花
行灯
瓦斯灯
...