“下闇”の読み方と例文
読み方割合
したやみ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
杖をこみち突立つきたて/\、辿々たどたどしく下闇したやみうごめいてりて、城のかたへ去るかと思へば、のろく後退あとじさりをしながら、茶店ちゃみせに向つて、ほっと、立直たちなおつて一息ひといきく。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
寒々さむざむとした気持になって、夢中で部屋の中を探し廻る。ふと、壁ぎわの寝台の下をのぞくと、その下闇したやみの中に、燐のようなものが二つ蒼白い炎をあげている。
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
主人を乗せた二匹の驢馬は、落葉の深さに少しの跫音も立てないで、静かに下闇したやみをたどります。獣も鳥も鳴かず、死の様な幽寂ゆうじゃくが森全体を占めています。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)