“したやみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
下闇85.7%
下暗14.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
主人を乗せた二匹の驢馬は、落葉の深さに少しの跫音も立てないで、静かに下闇したやみをたどります。獣も鳥も鳴かず、死の様な幽寂ゆうじゃくが森全体を占めています。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼は、岩に立てかけた自分の背負いごから頑固がんこ火繩銃ひなわじゅうを取りだした。そして、下闇したやみに吸われて行った。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
實家は上野の新坂下しんざかした、駿河臺への路なれば茂れる森の木の下暗したやみ佗しけれど、今宵は月もさやかなり、廣小路へ出づれば晝も同樣、雇ひつけの車宿とて無き家なれば路ゆく車を窓から呼んで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
可哀相な老婆は、わしの目を見ると、えたいの知れぬ叫び声を発して、矢庭やにわに逃げ出そうとした。人里離れた森の下暗したやみで、突然白装束の故人に出会ったのだ。幽霊と思うのも無理ではない。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)