“下暗”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
したやみ66.7%
もとくら33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
遠くの安全燈の光は、五重の塔の表側の方にさえほとんど届かないのだから、その裏の下暗したやみには無論影さえもない。公園中での魔所といってもよかった。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
見ると幾塊かの大岩が黒ずんだ膚に青苔を蒸して眼前に立ちふさがっていた。木立までが深くなって、幽鬱な下暗したやみに物の朽ちた臭がそこら一面に漂うている。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
燈台と同じに電燈も下暗もとくらしだ。その影から俺は、まともに光を受けてる男の顔を、横目ではっきり見て取った。片岡さんだ。片岡正夫だ。
溺るるもの (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「だが、こんな遠方へは来ていそうもない。燈台下暗もとくらしと世のたとえにも云う通り、尋ね物というものは案外手近にいるものだ」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)