“樹下闇”の読み方と例文
読み方割合
このしたやみ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
辰が天岳院前の樹下闇このしたやみに立停まると、そこに男が一人駕籠を下ろして待っていた。三次が遠くから透かし見たところでは、痩形やせがたの、身長せいの高い若い駕籠屋であった。
けれども、稚市自身はどうしたことか、両腕をグングン舵機のように廻しながら、おりおり滝人のほうを眺め、ほとんど無我夢中に、前方の樹下闇このしたやみの中に這い込もうとしている。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
吠えかかった山犬のむれは、たちまち、千浪の得物を打ち落し、次に、彼女の体を、なみがしらへ泛かべたように、軽々とかついで、例の、陰々とした樹下闇このしたやみの細道へどッと走りこんだ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)