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樹下闇
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このしたやみ
ふりがな文庫
“
樹下闇
(
このしたやみ
)” の例文
辰が天岳院前の
樹下闇
(
このしたやみ
)
に立停まると、そこに男が一人駕籠を下ろして待っていた。三次が遠くから透かし見たところでは、
痩形
(
やせがた
)
の、
身長
(
せい
)
の高い若い駕籠屋であった。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
けれども、稚市自身はどうしたことか、両腕をグングン舵機のように廻しながら、おりおり滝人のほうを眺め、ほとんど無我夢中に、前方の
樹下闇
(
このしたやみ
)
の中に這い込もうとしている。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
吠えかかった山犬の
群
(
むれ
)
は、たちまち、千浪の得物を打ち落し、次に、彼女の体を、
濤
(
なみ
)
がしらへ泛かべたように、軽々と
引
(
ひ
)
ッ
担
(
かつ
)
いで、例の、陰々とした
樹下闇
(
このしたやみ
)
の細道へどッと走りこんだ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、其処に化石した人間のように立ち止まって、葉桜の
樹下闇
(
このしたやみ
)
を、ほの/″\と照し出しながら、遠く去って行く自動車の車台の後の青色の灯を、
何時
(
いつ
)
までも何時までも見送っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
が、さう決心した刹那に、もう自動車は、公園の蒼い
樹下闇
(
このしたやみ
)
を、後に残して、上野山下に拡がる初夏の夜、さうだ、
豊
(
ゆたか
)
に輝ける夏の夜の描けるが如き、光と色との中に、馳け入つてゐるのだつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
が、そう決心した
刹那
(
せつな
)
に、もう自動車は、公園の
蒼
(
あお
)
い
樹下闇
(
このしたやみ
)
を、後に残して、上野山下に
拡
(
ひろ
)
がる初夏の夜、そうだ、豊に輝ける夏の夜の描けるが
如
(
ごと
)
き、光と色との中に、
馳
(
か
)
け入っているのだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼女は、
爽
(
さわや
)
かな声を残しながら、戸外の
闇
(
やみ
)
に滑り入った。が、自動車が英国大使館前の桜
並樹
(
なみき
)
の
樹下闇
(
このしたやみ
)
を縫うている時だった。彼女の
面
(
おもて
)
には、父の
危篤
(
きとく
)
を
憂
(
うれ
)
うるような表情は、
痕
(
あと
)
も
止
(
とど
)
めていなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
樹
常用漢字
小6
部首:⽊
16画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
闇
常用漢字
中学
部首:⾨
17画
“樹下”で始まる語句
樹下
樹下石上
樹下茂国
樹下道
樹下民部
樹下美人図