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突立
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つッた
ふりがな文庫
“
突立
(
つッた
)” の例文
私がのっそりと
突立
(
つッた
)
った
裾
(
すそ
)
へ、女の
脊筋
(
せすじ
)
が
絡
(
まつわ
)
ったようになって、右に左に、肩を
曲
(
くね
)
ると、
居勝手
(
いがって
)
が悪く、白い指がちらちら乱れる。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突き当りの壁は
突立
(
つッた
)
っている。
微
(
かすか
)
なカンテラに照らされて、色さえしっかり分らない上が、一面に
濡
(
ぬ
)
れて、濡れた所だけがきらきら光っている。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
伴「そんな
這入
(
へい
)
りようがあるものか、なんてえ
這入
(
へい
)
りようだ、
突立
(
つッた
)
って
這入
(
へえ
)
ッちゃア蚊が
這入
(
へえ
)
って仕ようがねえ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若
(
も
)
し
戀女
(
こひをんな
)
の
魔
(
ま
)
の
輪近
(
わぢか
)
くへ
奇異
(
おつりき
)
な
魔物
(
まもの
)
を
祈
(
いの
)
り
出
(
だ
)
して、
彼女
(
おてき
)
が
調伏
(
てうぶく
)
してしまふまで、それを
突立
(
つッた
)
たせておいたならば、それこそ
惡戲
(
てんごう
)
でもあらうけれど、
今
(
いま
)
のは
正直正當
(
しゃうぢきしゃうたう
)
な
呪文
(
じゅもん
)
ぢゃ、
彼女
(
おてき
)
の
名
(
な
)
を
借
(
か
)
りて
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
船は小さし、
胴
(
どう
)
の
間
(
ま
)
へ
突立
(
つッた
)
って、
釣下
(
つりさが
)
って、
互違
(
たがいちがい
)
に手を掛けて、川幅三十
間
(
けん
)
ばかりを
小半時
(
こはんとき
)
、
幾度
(
いくたび
)
もはっと思っちゃ、
危
(
あぶな
)
さに
自然
(
ひとりで
)
に目を
塞
(
ふさ
)
ぐ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
福「冗談云うねえ、今店を明けたばかりの処で其処へ
突立
(
つッた
)
って邪魔して居ちゃアいかん、何だア銭貰い」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
漸々
(
ようよう
)
人の手に
扶
(
たす
)
け
起
(
おこ
)
されると、合羽を解いてくれたのは、五十ばかりの肥った
婆
(
ばあ
)
さん。
馬士
(
まご
)
が一人
腕組
(
うでぐみ
)
をして
突立
(
つッた
)
っていた。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、お柳の手を取って歩き出そうと致しまする
路傍
(
みちばた
)
の
枯蘆
(
かれあし
)
をガサ/\ッと掻分けて、幸兵衞夫婦の前へ一人の男が
突立
(
つッた
)
ちました。是は申さないでも長二ということ、お察しでございましょう。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それでからもう
砂利
(
じゃり
)
でも針でもあれと
地
(
つち
)
へこすりつけて、十余りも蛭の
死骸
(
しがい
)
を
引
(
ひっ
)
くりかえした上から、五六
間
(
けん
)
向うへ飛んで
身顫
(
みぶるい
)
をして
突立
(
つッた
)
った。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トタンに、つるりと
腕
(
かいな
)
を
辷
(
すべ
)
って、獅子は、
倒
(
さかさ
)
にトンと返って、ぶるぶると
身体
(
からだ
)
をふったが、けろりとして
突立
(
つッた
)
った。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巨大なるこの
樟
(
くすのき
)
を
濡
(
ぬ
)
らさないために、板屋根を
葺
(
ふ
)
いた、小屋の高さは十
丈
(
じょう
)
もあろう、脚の着いた台に寄せかけたのが
突立
(
つッた
)
って、殆ど屋根裏に届くばかり。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一段高いのに、
突立
(
つッた
)
ったから胸から上は隠れたが、人とも
獣
(
けもの
)
とも、
大
(
おおき
)
な熊が
蔽
(
おお
)
われかかるように見えたんだがね。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
恍
(
とぼ
)
けた顔。この
大業
(
おおぎょう
)
なのが
可笑
(
おかし
)
いとて、店に
突立
(
つッた
)
った
出額
(
おでこ
)
の小僧は、お千世の方を向いて、くすりと遣る。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
突立
(
つッた
)
ったまま、
苦
(
にが
)
い顔、渋い顔、切ない顔、甘い顔、酔って
呆
(
ぼ
)
けた青い顔をしていた。が、頬へたらたらと垂れかかった酒の
雫
(
しずく
)
を、
横舐
(
よこな
)
めに、舌打して
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「源坊、こっちへ入らっし。おい、何を
茫然
(
ぼんやり
)
石地蔵を抱いた風で
突立
(
つッた
)
ってるんだ、いじけるない。」
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と調子はおっとり聞こえたが、これを耳にすると
斉
(
ひと
)
しく、立二は
焼火箸
(
やけひばし
)
を
嚥
(
の
)
んだように
突立
(
つッた
)
った。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勿論、知合になったあとでは失礼ながら、
件
(
くだん
)
の大革鞄もその
中
(
うち
)
の数の一つではあるが——一人、袴羽織で、山高を
被
(
かぶ
)
ったのが仕切の板戸に
突立
(
つッた
)
っているのさえ出来ていた。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小宮山がその形で
突立
(
つッた
)
ったまま、口も利けないのに、女は
好
(
すき
)
な事をほざいたのでありまする。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鶏
(
とり
)
が鳴いたので、やっと細君が顔を上げたが、廊下に
突立
(
つッた
)
った夫を見た時、聞耳を立てて
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何の
蝸牛
(
ででむし
)
みたような
住居
(
すまい
)
だ、この中に踏み込んで、
罷
(
まか
)
り違えば、殻を
背負
(
しょ
)
っても逃げられると、高を
括
(
くく
)
って度胸が坐ったのでありますから、威勢よく
突立
(
つッた
)
って
凜々
(
りんりん
)
とした大音声。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
川を
遡
(
さかのぼ
)
ったり、流れたりして、
流網
(
ながれあみ
)
をかけて
魚
(
うお
)
を取るのが、川ン中に
手拱
(
てあぐら
)
かいて、ぶるぶるふるえて
突立
(
つッた
)
ってるうちは、顔のある人間だけれど、そらといって水に潜ると、
逆
(
さかさ
)
になって
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さっくと削った
荒造
(
あらづくり
)
の仁王尊が、
引組
(
ひっく
)
む
状
(
さま
)
の
巌
(
いわ
)
続き、海を踏んで
突立
(
つッた
)
つ間に、
倒
(
さかさ
)
に生えかかった
竹藪
(
たけやぶ
)
を
一叢
(
ひとむら
)
隔てて、同じ
巌
(
いわお
)
の六枚
屏風
(
びょうぶ
)
、月には
蒼
(
あお
)
き
俤立
(
おもかげだ
)
とう——ちらほらと松も見えて
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かっと
逆上
(
のぼ
)
せて、
堪
(
たま
)
らずぬっくり
突立
(
つッた
)
ったが、
南無三
(
なむさん
)
物音が、とぎょッとした。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
屹
(
きっ
)
となって、さあ始めやがった、あン畜生、また
肋
(
あばら
)
の骨で遣ってるな、このままじゃ居られないと、
突立
(
つッた
)
ちました小宮山は、早く既にお雪が話の内の一員に、化しおおしたのでありまする。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
支
(
つ
)
いて
突立
(
つッた
)
ったその三味線を、次の
室
(
ま
)
の暗い方へ
密
(
そっ
)
と
押遣
(
おしや
)
って、がっくりと筋が
萎
(
な
)
えた風に、折重なるまで
摺寄
(
すりよ
)
りながら、
黙然
(
だんま
)
りで、
燈
(
ともしび
)
の影に水のごとく
打揺
(
うちゆら
)
ぐ、お三重の背中を
擦
(
さす
)
っていた。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
学生が一人、のっそり立ち、洋書を五六冊
引抱
(
ひんだ
)
いて
突立
(
つッた
)
ったものである。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
卓子
(
テイブル
)
の上に両方からつないで下げた電燈の
火屋
(
ほや
)
の
結目
(
むすびめ
)
を解いたが、
堆
(
うずたか
)
い
書籍
(
しょじゃく
)
を片手で
掻退
(
かいの
)
けると、
水指
(
みずさし
)
を取って、ひらりとその脊の高い体で、靴のまま卓子の上に
上
(
あが
)
って銅像のごとく
突立
(
つッた
)
った。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
路端
(
みちばた
)
の芋大根の畑を隔てた、線路の下を抜ける処は、
物凄
(
ものすご
)
い渦を巻いて、下田圃へ落ちかかる……線路の上には、ばらばらと
人立
(
ひとだち
)
がして、
明
(
あかる
)
い雲の下に、海の方へ
後向
(
うしろむき
)
に、
一筆画
(
ひとふでがき
)
の墨絵で
突立
(
つッた
)
つ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とんと打入れる
発奮
(
はずみ
)
をくッて、腰も据らず、
仰向
(
あおむけ
)
に
引
(
ひっ
)
くりかえることがある、ええだらしがない、尻から
焼火箸
(
やけひばし
)
を刺通して、畳の
縁
(
へり
)
に
突立
(
つッた
)
ててやろう、転ばない
呪禁
(
まじない
)
にと、陰では口汚く
詈
(
ののし
)
られて
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「へい。」と筒抜けの高調子で、亭主帳場へ棒に
突立
(
つッた
)
ち
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
海野は
獅子吼
(
ししぼえ
)
をなして、
突立
(
つッた
)
ちぬ。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突
常用漢字
中学
部首:⽳
8画
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“突立”で始まる語句
突立上
突立状