“掻退”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かきの60.0%
かいの40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
耳のはたで叫んで、——前刻さっきから橋の際に腰を板に附いてしゃがんでいた、土方体の大男の、電車も橋も掻退かきのけるがごとく、両手を振って駆出したのがある。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
久々の逢瀬おうせに語りつきせぬ其のを明しまして、一日二日と過ぎます内にはや三月の花見時、向島の引ける頃、混雑の人を掻退かきのけ/\一人の婦人が立花屋へ駈付けてまいりまして
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
といまはいらてるさまにて、はたとばかり掻退かいのけたる、雪はすべり落ちて、三ツ四ツに砕けたるを、少年のあなやとひろひて、拳を固めて掴むと見えし、血の色颯と頬を染めて、右手めてに貴女の手をとりしば
紫陽花 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
卓子テイブルの上に両方からつないで下げた電燈の火屋ほや結目むすびめを解いたが、うずたか書籍しょじゃくを片手で掻退かいのけると、水指みずさしを取って、ひらりとその脊の高い体で、靴のまま卓子の上にあがって銅像のごとく突立つッたった。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)