突立つつた)” の例文
自分は海岸通りのホテルに茶菓さくわあぢはつたのち、汽車で東京に帰つた。人家の屋根の上には梅毒の広告が突立つつたつてゐる大きな都会。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
又激く捩合ねぢあ郤含はずみに、短刀は戞然からりと落ちて、貫一が前なる畳に突立つつたつたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
遠くの沖には彼方かなた此方こなたみを粗朶そだ突立つつたつてゐるが、これさへ岸より眺むれば塵芥ちりあくたかと思はれ
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)