騎士きし)” の例文
いつも憤然ふんぜんとしておおいいかり、さながら自分の愛人を侮辱ぶじょくされた時の騎士きしのごとく、するど反撃はんげきやりをふるってき当って行った。
「きちんと身体に合っている鎧は、今までにもないことはありませんよ。中世紀のヨーロッパの騎士きしは、これに似た鎧を着ていましたからねえ」
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
たゞ此時このとき大路おほぢときひゞいたのは、肅然しゆくぜんたる騎馬きばのひづめのおとである。のあかりにうつるのは騎士きし直劍ちよくけんかげである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ベッドには、ちゃんとけぶとんがありますし、壁には、三人の騎士きしのかいてある、長いぬのもかかっています。
さも自分をトーナメントに出場した中世の騎士きしのように想像したり——ああ、わたしの耳にきつける風のなんとほがらかだったことよ! ——あるいは顔を大空へ振向けて
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
ひるすぎになって、西京さいきょう大家たいか大坪道禅おおつぼどうぜん馬術ばじゅつ母衣流ほろながしの見ごとなしきをはじめとし、一門の騎士きしあぶみをならしてをあらそい、ほかに剣道組けんどうぐみから数番の手合てあわせが開始されたが
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楽劇「薔薇ばら騎士きし」の全曲ではないが全曲を彷彿ほうふつさせる大物がビクターに入っている。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
美しいむすめたちのむれも、鼻からあわをふいている、あらウマにまたがった、いさましい騎士きしたち、ペール・デヴァーや、キルスデン・キマーも、みんな、あたしの中から生れてきたんだし
騎士きしのようにほがらかにられたのであります。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わけつゝしのぶ騎士きしひとり。
騎士と姫 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
うらわかき騎士きし拍車はくしや
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
むかしの騎士きしと貴婦人たちが、ウマに乗って、森を通っていきます。帽子には羽かざりをつけ、手にはタカをとまらせています。狩りの角笛つのぶえがひびきわたり、イヌがワンワンほえたてました。
湖南の三騎士きし
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
騎士きしらしいひげが、あごのまわりにちぢれていましたが、その男のにはなみだがたまっていました。それもそのはず、人々から口笛くちぶえでののしられて、舞台を引き下がってきたばかりだったのです。