寄示きし)” の例文
此書の下巻は未刊行のものださうで、頃日このごろ箕山さんは蘭軒の伝を稿本中より抄出してわたくしに寄示きししてくれたのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
第十二第十三は蘭軒の三子柏軒と茶山の養嗣子くわん惟繩ゐじようとである。蘭軒は柏軒の詩を茶山に寄示きしした。茶山はこれをめて、菅三の詩の未だたくみならざることを言つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
蘭軒は十九歳になつた榛軒の詩を茶山に寄示きしした。榛軒詩存はわたくしは未だ細検せぬが、弘化三年以前の作を載せぬものかとおもはれる。それゆゑ茶山の目を驚かした詩は何の篇たるを知らない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)