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岸
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きし
ふりがな文庫
“
岸
(
きし
)” の例文
つもる雪もおなじく氷りて岩のごとく、
岸
(
きし
)
の氷りたる
端
(
はし
)
次第
(
しだい
)
に雪ふりつもり、のちには
両岸
(
りやうがん
)
の雪
相合
(
あひがつ
)
して
陸地
(
りくち
)
とおなじ雪の地となる。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
背
(
せ
)
を
高
(
たか
)
く、
足
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
んで、
沼
(
ぬま
)
の
岸
(
きし
)
を
離
(
はな
)
れると、
足代
(
あじろ
)
に
突立
(
つゝた
)
つて
見送
(
みおく
)
つた
坊主
(
ばうず
)
の
影
(
かげ
)
は、
背後
(
うしろ
)
から
蔽覆
(
おつかぶ
)
さる
如
(
ごと
)
く、
大
(
おほひ
)
なる
形
(
かたち
)
に
成
(
な
)
つて
見
(
み
)
えた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やがて船は、米倉の下の
岸
(
きし
)
へつきました。水ぎわにあそんでいた、たくさんのあひるどもが、があがあなきながら
泳
(
およ
)
ぎにげました。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
いつか
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
へ
捨
(
す
)
てた
黒
(
くろ
)
い
石
(
いし
)
が、すっかり
生
(
い
)
きてでもいるようにカラカラカラッと
鳴
(
な
)
って、
波
(
なみ
)
の
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せるたびに
岸
(
きし
)
へ
打
(
う
)
ち
上
(
あ
)
げられて
カラカラ鳴る海
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「よきはどうしたんだ」おつぎは
岸
(
きし
)
へ
上
(
あが
)
つて
泥
(
どろ
)
だらけの
足
(
あし
)
で
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
膝
(
ひざ
)
を
突
(
つい
)
た。
與吉
(
よきち
)
は
笑交
(
わらひまじ
)
りに
泣
(
な
)
いて
兩手
(
りやうて
)
を
出
(
だ
)
して
抱
(
だ
)
かれようとする。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
それですから、北上川の
岸
(
きし
)
からこの高原の方へ行く
旅人
(
たびびと
)
は、高原に近づくに
従
(
したが
)
って、だんだんあちこちに
雷神
(
らいじん
)
の
碑
(
ひ
)
を見るようになります。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
白ガチョウは、
運
(
うん
)
よく、小さいスズキを見つけました。すばやくそれをつかまえますと、
岸
(
きし
)
へもどってきて、ニールスの前におきました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
「
軍曹殿
(
ぐんそうどの
)
、
軍曹殿
(
ぐんそうどの
)
、
早
(
はや
)
く
早
(
はや
)
く、
銃
(
じう
)
を
早
(
はや
)
く‥‥」と、
中根
(
なかね
)
は
岸
(
きし
)
に
近寄
(
ちかよ
)
らうとしてあせりながら
叫
(
さけ
)
んだ。
銃
(
じう
)
はまだ
頭上
(
づじやう
)
にまつ
直
(
す
)
ぐ
差
(
さ
)
し
上
(
あ
)
げられてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
家鴨
(
あひる
)
やドード
鳥
(
てう
)
、ローリー
鳥
(
てう
)
や
小鷲
(
こわし
)
、
其他
(
そのほか
)
種々
(
いろ/\
)
の
珍
(
めづ
)
らしい
動物
(
どうぶつ
)
が
居
(
ゐ
)
ましたが、
愛
(
あい
)
ちやんの
水先案内
(
みづさきあんない
)
で、
皆
(
みん
)
な
隊
(
たい
)
を
成
(
な
)
して
殘
(
のこ
)
らず
岸
(
きし
)
に
泳
(
およ
)
ぎつきました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
この歌の近くに、
清江娘子
(
すみのえのおとめ
)
という者が長皇子に
進
(
たてまつ
)
った、「草枕旅行く君と知らませば
岸
(
きし
)
の
埴土
(
はにふ
)
ににほはさましを」(巻一・六九)という歌がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
伊那丸は
陸
(
おか
)
にのこって、
岸
(
きし
)
から小舟を見おくっていた。あかい
夕陽
(
ゆうひ
)
は、きらきらと水面を
射
(
い
)
かえして、舟はだんだんと湖心へむかって小さくなった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
池
(
いけ
)
の
面
(
おもて
)
にうかんでいる
鯉
(
こい
)
でさえも、じぶんが
岸
(
きし
)
に
立
(
た
)
つと、がばッと
体
(
たい
)
をひるがえしてしずんでいくのでありました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
したものの、どうする
当
(
あ
)
てもないので、
今
(
いま
)
にも
鬼
(
おに
)
が
追
(
お
)
っかけて
来
(
く
)
るかとはらはらしながら、川の
岸
(
きし
)
をはなれて山の
方
(
ほう
)
へどんどん
逃
(
に
)
げて
行
(
い
)
きました。
鬼六
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
車外
(
しやぐわい
)
の
猛獸
(
まうじう
)
は、
見
(
み
)
る/\
内
(
うち
)
に
氣色
(
けしき
)
が
變
(
かわ
)
つて
來
(
き
)
た。
隙
(
すき
)
を
覗
(
うかゞ
)
つたる
水兵
(
すいへい
)
は、サツと
出口
(
でぐち
)
の
扉
(
とびら
)
を
排
(
ひら
)
くと、
途端
(
とたん
)
、
稻妻
(
いなづま
)
は、
猛然
(
まうぜん
)
身
(
み
)
を
跳
(
をど
)
らして、
彼方
(
かなた
)
の
岸
(
きし
)
へ
跳上
(
をどりあが
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そして、とうとう
追
(
お
)
いつめられて、みよこの家の
横
(
よこ
)
の、ボートが
岸
(
きし
)
にあげられてあるところまで走ってきた。そのむこうは、もう
湖水
(
こすい
)
で、ゆきどまり——。
ラクダイ横町
(新字新仮名)
/
岡本良雄
(著)
鈴生
(
すゞな
)
りに
人
(
ひと
)
を
乘
(
の
)
せた
舟
(
ふね
)
が、
對岸
(
たいがん
)
に
着
(
つ
)
くまで、
口惜
(
くや
)
しさうにして
突
(
つ
)
つ
立
(
た
)
つた
天滿與力
(
てんまよりき
)
の、
大
(
おほ
)
きな
赤
(
あか
)
い
顏
(
かほ
)
が、
西日
(
にしび
)
に
映
(
うつ
)
つて一
層
(
そう
)
赤
(
あか
)
く
彼方
(
かなた
)
の
岸
(
きし
)
に
見
(
み
)
えてゐた。——
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
一寸
上
(
うへ
)
に浮ばんとするは、一寸
下
(
した
)
に沈むなり、一尺
岸
(
きし
)
に
上
(
のぼ
)
らんとするは、一尺
底
(
そこ
)
に
下
(
くだ
)
るなり、所詮自ら掘れる墳墓に埋るゝ運命は、悶え苦みて些の益もなし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
十八に
家出
(
いえで
)
をしたまま、いまだに
行方
(
ゆくえ
)
も
知
(
し
)
れない
伜
(
せがれ
)
千
吉
(
きち
)
の
不甲斐
(
ふがい
)
なさは、
思
(
おも
)
いだす
度毎
(
たびごと
)
にお
岸
(
きし
)
が
涙
(
なみだ
)
の
種
(
たね
)
ではあったが、
踏
(
ふ
)
まれた
草
(
くさ
)
にも
花咲
(
はなさ
)
くたとえの
文字通
(
もじどお
)
り
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そのうちに、こんどは
諭吉
(
ゆきち
)
が
腸
(
ちょう
)
チフスにかかりました。それは、
適塾
(
てきじゅく
)
の
兄
(
あに
)
でしである
岸
(
きし
)
という
人
(
ひと
)
が、
腸
(
ちょう
)
チフスにかかったのをかんびょうしていて、うつったのでした。
福沢諭吉:ペンは剣よりも強し
(新字新仮名)
/
高山毅
(著)
向
(
むか
)
うの
岸
(
きし
)
に
往
(
ゆ
)
かんとし
給
(
たま
)
ひしに、ある
学者
(
がくしや
)
来
(
きた
)
りて
云
(
い
)
ひけるは
師
(
し
)
よ。
何処
(
いづこ
)
へ
行
(
ゆ
)
き
給
(
たま
)
ふとも
我
(
わ
)
れ
従
(
したが
)
はん。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
馬に引かれた
小舟
(
こぶね
)
は、そろそろと
岸
(
きし
)
をはなれて、
堀割
(
ほりわり
)
の
静
(
しず
)
かな波を切ってすべって行った。
両側
(
りょうがわ
)
には木があった。後ろにはしずんで行く夕日のななめな光線が落ちた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
岸
(
きし
)
少尉を指揮官とする
臨検隊
(
りんけんたい
)
が、ボートにうちのって、怪貨物船に近づいていった。むこうの方でも、もう観念したものと見え、
舷側
(
げんそく
)
から一本の
繋梯子
(
けいはしご
)
がつり下げられた。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そういう時をねらって、くまは川の
岸
(
きし
)
にでて、
爪
(
つめ
)
にひっかけては、さけをほしいだけ
取
(
と
)
ります。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
言
(
い
)
ふまでもなく
馬
(
うま
)
を
打
(
う
)
つ
策
(
むち
)
は
僕
(
ぼく
)
の
頭上
(
づじやう
)
に
霰
(
あられ
)
の如く
落
(
お
)
ちて來た。
早速
(
さつそく
)
金
(
かね
)
で
傭
(
やと
)
はれた
其邊
(
そこら
)
の
舟子
(
ふなこ
)
共
(
ども
)
幾人
(
いくにん
)
は
魚
(
うを
)
の如く
水底
(
すゐてい
)
を
潛
(
くゞ
)
つて手に
觸
(
ふ
)
れる石といふ石は
悉
(
こと/″\
)
く
岸
(
きし
)
に
拾
(
ひろ
)
ひ
上
(
あげ
)
られた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
岸
(
きし
)
はどこもかしこも
皆
(
みな
)
割
(
わ
)
ったような
巌
(
いわ
)
で、それに
松
(
まつ
)
、
杉
(
すぎ
)
その
他
(
た
)
の
老木
(
ろうぼく
)
が、
大蛇
(
だいじゃ
)
のように
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
っているところは、
風情
(
ふぜい
)
が
良
(
よ
)
いというよりか、
寧
(
むし
)
ろもの
凄
(
すご
)
く
感
(
かん
)
ぜられました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
摘
(
つみ
)
あらそひし
昔
(
むか
)
しは
何
(
なん
)
の
苦
(
く
)
か
有
(
あ
)
りし
野河
(
のがは
)
の
岸
(
きし
)
に
菊
(
きく
)
の
花
(
はな
)
手折
(
たをる
)
とて
流
(
なが
)
れ
一筋
(
ひとすじ
)
かち
渡
(
わた
)
りし
給
(
たま
)
ふ
時
(
とき
)
我
(
われ
)
はるかに
歳下
(
としした
)
の
身
(
み
)
のコマシヤクレにも
君
(
きみ
)
さまの
袂
(
たもと
)
ぬれるとて
袖襻
(
そでだすき
)
かけて
參
(
まゐ
)
らせしを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
遠
(
とほ
)
くアムールの
岸
(
きし
)
を
噛
(
か
)
む
波
(
なみ
)
の
響
(
ひゞ
)
きは、
興安嶺
(
こうあんれい
)
を
越
(
こ
)
え、
松花江
(
しようくわかう
)
を
渡
(
わた
)
り、
哈爾賓
(
はるびん
)
の
寺院
(
じゐん
)
を
揺
(
ゆ
)
すり、
間島
(
かんたう
)
の
村々
(
むら/\
)
に
伝
(
つた
)
はり、あまねく
遼寧
(
れいねい
)
の
公司
(
こんす
)
を
揺
(
ゆ
)
るがし、
日本駐屯軍
(
にほんちうとんぐん
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
に
迫
(
せま
)
る
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
社員
(
しやゐん
)
充満
(
みちみち
)
ていづれも
豪傑然
(
がうけつぜん
)
たり、
機会
(
とき
)
にあたれば気は
引立
(
ひきたつ
)
ものなり、
元亀
(
げんき
)
天正
(
てんしやう
)
の
頃
(
ころ
)
なれば一国一城の
主
(
ぬし
)
となる
手柄
(
てがら
)
も
難
(
かた
)
からぬが、
岸
(
きし
)
に
堤
(
つゝみ
)
に
真黒
(
まつくろ
)
に
立続
(
たちつゞ
)
けし人も
皆
(
み
)
な
豪傑然
(
がうけつぜん
)
たり
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
時
(
とき
)
は
冬
(
ふゆ
)
の
初
(
はじめ
)
で、
霜
(
しも
)
が
少
(
すこ
)
し
降
(
ふ
)
つてゐる。
椒江
(
せうこう
)
の
支流
(
しりう
)
で、
始豐溪
(
しほうけい
)
と
云
(
い
)
ふ
川
(
かは
)
の
左岸
(
さがん
)
を
迂囘
(
うくわい
)
しつつ
北
(
きた
)
へ
進
(
すゝ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
初
(
はじ
)
め
陰
(
くも
)
つてゐた
空
(
そら
)
がやうやう
晴
(
は
)
れて、
蒼白
(
あをじろ
)
い
日
(
ひ
)
が
岸
(
きし
)
の
紅葉
(
もみぢ
)
を
照
(
てら
)
してゐる。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
またそれから
飽
(
あ
)
きるほど
乘
(
の
)
つて
行
(
ゆ
)
くうちに、
馬車
(
ばしや
)
はある
川
(
かは
)
の
岸
(
きし
)
へ
出
(
で
)
ました。
川
(
かは
)
にかけた
橋
(
はし
)
の
落
(
お
)
ちた
時
(
とき
)
とかで、
伯父
(
をぢ
)
さんでも
誰
(
たれ
)
でも
皆
(
みな
)
その
馬車
(
ばしや
)
から
降
(
お
)
りて、
水
(
みづ
)
の
淺
(
あさ
)
い
所
(
ところ
)
を
渉
(
わた
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
時
(
とき
)
としては柳条に
拠
(
よ
)
りて深処に
没
(
ぼつ
)
するを
防
(
ふせ
)
ぎしことあれども、
進
(
すす
)
むに従うて
浅砂
(
せんさ
)
の
岸
(
きし
)
となり、
遂
(
つひ
)
に沼岸一帯の
白砂
(
はくさ
)
を
現
(
げん
)
じ来る、砂土人馬の
足跡
(
そくせき
)
は
斑々
(
はん/\
)
として破鞋と
馬糞
(
ばふん
)
は所々に
散見
(
さんけん
)
す
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
運河
(
うんが
)
の
岸
(
きし
)
が いまにもかくれさうに水がびたびたになつちまつてゐるぞ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
河の
小波
(
さざなみ
)
が
岸
(
きし
)
にひたひた音をたてていた。クリストフは
気
(
き
)
がぼうとして
来
(
き
)
た。目にも見ないで、草の小さな
茎
(
くき
)
をかみきっていた。
蟋蟀
(
こおろぎ
)
が一
匹
(
ぴき
)
そばで鳴いていた。
彼
(
かれ
)
は
眠
(
ねむ
)
りかけてるような
気持
(
きもち
)
だった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
嫩江の
岸
(
きし
)
水荘のあるじなる将軍が
指
(
さ
)
す春のかりがね
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
夕
(
ゆふ
)
くれなゐの
明
(
あか
)
らみに、
黄金
(
こがね
)
の
岸
(
きし
)
も
慕
(
した
)
ふらむ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
の
岸
(
きし
)
なる
夜叉神社
(
やしやじんじや
)
に
參籠
(
さんろう
)
し、
三七日
(
さんしちにち
)
の
夜
(
よ
)
に
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
鵞
(
が
)
の
鳥
(
とり
)
を
捕
(
と
)
らむとて
岸
(
きし
)
ゆ落ちぬる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
舟
(
ふね
)
岸
(
きし
)
につけば柳に星一つ
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
うかびくる
岸
(
きし
)
の
隈
(
くま
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
同道
(
どうだう
)
したる男は疑ひもなき敵と
狙
(
ねら
)
ふ吾助にて有れば忠八は
汝
(
おの
)
れ吾助と
言
(
い
)
ひながらすツくと
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
る間に
早瀬
(
はやせ
)
なれば船は
疾
(
はや
)
三
反
(
たん
)
ばかり
隔
(
へだた
)
りし故其の船返せ戻せと呼はれ共
大勢
(
おほぜい
)
の
乘合
(
のりあひ
)
なれば船頭は耳にも入ず其
中
(
うち
)
に船は此方の
岸
(
きし
)
に
着
(
つき
)
けれとも忠八立たりし
儘
(
まゝ
)
船より
上
(
あが
)
らず又もや元の
向島
(
むかうじま
)
の方へと乘渡り
群集
(
ぐんじゆ
)
の中を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其處
(
そこ
)
で、でこぼこと
足場
(
あしば
)
の
惡
(
わる
)
い、
蒼苔
(
あをごけ
)
と
夜露
(
よつゆ
)
でつる/\と
辷
(
すべ
)
る、
岸
(
きし
)
の
石壇
(
いしだん
)
を
踏
(
ふ
)
んで
下
(
お
)
りて、
笠
(
かさ
)
を
脱
(
ぬ
)
いで、
岸
(
きし
)
の
草
(
くさ
)
へ、
荷物
(
にもつ
)
を
其
(
そ
)
の
上
(
うへ
)
。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして、しまいには、うす
青
(
あお
)
い、
黄昏
(
たそがれ
)
の
空
(
そら
)
にはかなく
消
(
き
)
えて、また
低
(
ひく
)
く
岸
(
きし
)
を
打
(
う
)
つ
波
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
にさらわれて、
暗
(
くら
)
い
奈落
(
ならく
)
へと
沈
(
しず
)
んでゆくのでした。
海のかなた
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
岸
(
きし
)
の
阻
(
そばだち
)
たる所は鮏
岸
(
きし
)
につきてのぼるものゆゑ、岸に
身
(
み
)
を
置
(
おく
)
ばかりの
架
(
たな
)
をかきて、こゝに
居
(
ゐ
)
て
腰
(
こし
)
に
魚楑
(
なつち
)
をさし鮏を
掻探
(
かきさぐ
)
りてすくひとるなり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
勘次
(
かんじ
)
が
走
(
はし
)
つて
鬼怒川
(
きぬがは
)
の
岸
(
きし
)
に
立
(
た
)
つた
時
(
とき
)
は
霧
(
きり
)
が一
杯
(
ぱい
)
に
降
(
お
)
りて、
水
(
みづ
)
は
彼
(
かれ
)
の
足許
(
あしもと
)
から二三
間
(
げん
)
先
(
さき
)
が
見
(
み
)
えるのみであつた。
岸
(
きし
)
には
船
(
ふね
)
が
繋
(
つな
)
いでなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
けれども、ズルスケはそれより早く、矢のように
突進
(
とっしん
)
して、一
羽
(
わ
)
のガンのはねをくわえるが早いか、ふたたび
岸
(
きし
)
のほうへかけもどりました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
ごとごとごとごと汽車はきらびやかな
燐光
(
りんこう
)
の川の
岸
(
きし
)
を
進
(
すす
)
みました。
向
(
む
)
こうの方の
窓
(
まど
)
を見ると、野原はまるで
幻燈
(
げんとう
)
のようでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
岸
(
きし
)
」は前にもあったが、川岸などの岸と同じく、山と平地との境あたりで、なだれになっているのを云うのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
鉢
(
はち
)
かつぎは
泣
(
な
)
きながら、どこへ行くというあてもなしに
迷
(
まよ
)
い
歩
(
ある
)
きました。どこをどう
歩
(
ある
)
いたか、
自分
(
じぶん
)
でも
知
(
し
)
らないうちに、ふと大きな
川
(
かわ
)
の
岸
(
きし
)
へ出ました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
猫間川
(
ねこまがは
)
の
岸
(
きし
)
に
柳櫻
(
やなぎさくら
)
を
植
(
う
)
ゑたくらゐでは、
大鹽
(
おほしほ
)
の
亡魂
(
ばうこん
)
は
浮
(
うか
)
ばれますまい。しかし
殿樣
(
とのさま
)
が
御勤務役
(
ごきんむやく
)
になりましてから、
市中
(
しちう
)
の
風儀
(
ふうぎ
)
は、
見
(
み
)
ちがへるほど
改
(
あらた
)
まりました。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
しろ公は、そのようにして、林太郎がゆきだおれている
湖
(
みずうみ
)
の
岸
(
きし
)
へ、おとっつあんをりっぱに
案内
(
あんない
)
したのです。おとっつあんは、
倒
(
たお
)
れている林太郎をだきあげると
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
“岸”の意味
《名詞》
(きし)海、湖沼、川などに接した陸地部分。
(出典:Wiktionary)
岸
常用漢字
小3
部首:⼭
8画
“岸”を含む語句
彼岸
対岸
河岸
河岸縁
海岸
川岸
河岸通
両岸
向岸
對岸
前岸
此岸
御厩河岸
彼岸桜
菖蒲河岸
海彼岸
代地河岸
海岸通
彼岸所
魚河岸
...