“前岸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かわむこう37.5%
ぜんがん37.5%
むこう12.5%
むこうぎし12.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
前岸かわむこうの巨木からさがった鉄鎖てつさのような藤葛ふじかずらが流れの上に垂れて、そのはしが水のいきおいで下流になびき、またね返って下流に靡いているのが見えた。
仙術修業 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこは草や雑木ぞうきの生えた小藪こやぶになっていて、すぐ右手に箱根八里の街道へける間道ぬけみちがあって、それがだらだらとおりて土橋どばしを渡り、前岸ぜんがん山裾やますそを上流に向ってうねうねと通じていた。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
三左衛門はみちに注意した。岩がいしだたみを敷いたようになっていて前岸むこうわたるにはぞうさもなかった。二人はその岩を伝って往った。
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
前岸むこうぎしはもとのままの湖の縁でとびとびに生えた白楊はこやなぎが黒く立っていて、その白楊の下の暗い処からそこここに燈の光が見えている。
水郷異聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)