ほえ)” の例文
「犬にゃ眠り病もないらしいね、しかしどういうもんか向うに行くと神経質になって、ほえてばかりいて困ったが……」
睡魔 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
犬の吠えるなどを気にすることが馬鹿らしくなってきたのです、犬が何ほどほえても人にみつくものでない、よし噛みついたところで何でもないということになって
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
暗くさみしい四辻の角のところへ出ると、頻に遠くの方で犬のほえる声が聞える。其時はもう自分で自分をおさへることが出来なかつた。堪へ難い悲傷かなしみの涙は一時に流れて来た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
犬のほえ近き月夜の野路のぢの霧誰かころろと歩みかへしつ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
それでいつの間にかこの犬に対するさとりを開いたのです、犬がほえる彼れ始めは熱心でなくほえている、その機先をせいして、こちらから突然襲撃するのです、何空手くうしゅでもかまわないです
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
五月蠅うるさくって仕様がないんでしょう、それでそのたびにワンワンほえて怒るんです……僕達には、何んにも聴こえないのに犬が騒ぎ出す、というのから逆に考えて超音波を思いついたんですよ
睡魔 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
犬のほえ近き月夜の野路のぢの霧誰かころろと歩みかへしつ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)