)” の例文
味噌久みそきゅうのやつが、へ落ちてしまやがった。まっ暗で、引っ張り上げてやろうにも、見当がつかねえ」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ふと、気がつきますと、でかわずがたくさんいている」自分は今、目をその方に向けた時の様子をして、顔を少し横に突きだし、その時やってみたよりもずッと上手な具合ぐあいに
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
「あれごろうじませや、あちらのの向こうから、裏方様の背におぶさった姫さまが、こちらを見て、可愛いお手々を振ってござらっしゃるではないか」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
田中田ンの寒風もいとわず、土手はチラチラと廓通さとがよいの人影がたえない。と——向うから、俳諧師はいかいしか何かを取巻きにつれて、おさまった若旦那がほろ酔いでくる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
祖父じいや父たちは、朝には、さかいの小ゼリ合いと聞いて合戦に駈け、夕べには、具足をぬぐやいな、すぐに入って田草を抜いたり、畑へ出てはくわを持って、ようやく
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)