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耄
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ぼ
ふりがな文庫
“
耄
(
ぼ
)” の例文
故アーネスト・ハートなどは、人と語る中ややもすれば句切り同然に放っていたが、それは廉将軍の三遺失に等しく、
甚
(
ひど
)
く
耄
(
ぼ
)
れたのだ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
耄
(
ぼ
)
けなさるな——と言外に含ませて、老人の幻想はむざんに壊された。彼の
惨憺
(
さんたん
)
たる思いは、顔のかたちをありありと
歪
(
ゆが
)
めていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「は、は、は、わしも、もう六十——少し
耄
(
ぼ
)
けているかも知れぬが、まだまだ、大事なことは、そう度忘れもせぬようじゃ。は、は、は」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それをじっとして聞いているおせいはさすがに父が哀れになった。五十二というのに、その人は六十以上に老い
耄
(
ぼ
)
けていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
正雄もお庄も、型の古いその帽子を冠って、三等客車に乗り込んで行く、叔父の、
窶
(
やつ
)
れて
耄
(
ぼ
)
けたような姿を見て、後からくすくす笑っていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
耄
(
ぼ
)
けもせず、
躯
(
からだ
)
も壮健なのに、哥薩克の長劔は手から毮ぎ取られ、なすこともなく日を送つて、我れながら何のために生きてゐるのか分らないのだ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
妾
(
わたし
)
が
乳首
(
ちゝくび
)
へ
苦艾
(
にがよもぎ
)
を
塗
(
まぶ
)
って
鳩小舍
(
はとごや
)
の
壁際
(
かべぎは
)
で
日向
(
ひなた
)
ぼっこりをして……
殿樣
(
とのさま
)
と
貴下
(
こなた
)
はマンチュアにござらしゃりました……いや、まだ/\
耄
(
ぼ
)
きゃしませぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
耄
(
ぼ
)
けた二人のばあ様問答をおかしがり興にのって「さようであります」と兵卒のような口調を真似て伸子を笑わせた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「おい、
老
(
お
)
い
耄
(
ぼ
)
れ! 娘を借りようかの。このとおり、野郎ばかりで
埒
(
らち
)
の明かぬところ。酒の酌が所望じゃ——。」
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
先生の
容貌
(
ようぼう
)
が永久にみずみずしているように見えるのに引き
易
(
か
)
えて、先生の書斎は
耄
(
ぼ
)
け
切
(
き
)
った色で包まれていた。
ケーベル先生
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
背戸
(
せど
)
に
蓄
(
か
)
つて
御覽
(
ごらん
)
なさい、と
一向
(
いつかう
)
色氣
(
いろけ
)
のなささうな、
腕白
(
わんぱく
)
らしいことを
言
(
い
)
つて
歸
(
かへ
)
んなすつた。——
翌日
(
よくじつ
)
だつけ、
御免下
(
ごめんくだ
)
さアい、と
耄
(
ぼ
)
けた
聲
(
こゑ
)
をして
音訪
(
おとづ
)
れた
人
(
ひと
)
がある。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この年寄って病み
耄
(
ぼ
)
けているわしを、この上この苦しい世のなかにながらえさせるのをふびんとおぼしめしてくださるのであろう。わしももうずいぶん長く生きたからな。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
だが、もう一とき時が経ちますと、蕋も花弁も分ちなく月日に老い痴れ、照る陽に
耄
(
ぼ
)
け
爛
(
ただ
)
れて、桃の盛りも知らぬげに、
弥生
(
やよい
)
の空に点じ乱れて、
濛々
(
もうもう
)
の夢に耽っております。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まだ、五十そこそこの年輩ですが、正直者らしい代り、ひどい
耄
(
ぼ
)
けようです。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
老い
耄
(
ぼ
)
れて世に残るよりは
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かなしみに
耄
(
ぼ
)
けてしまった初老の女は、
逞
(
たく
)
ましい男にうしろをかかえられ、夜風の戸外に連れだされた。その跡にはかみしも姿の高倉祐吉がぴたりと坐っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「どうも、
耄
(
ぼ
)
けて来たちふものかな!……」と、カレーニクは腰掛の上へ横になりながら呟やいた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
半ば
耄
(
ぼ
)
け果てた、落ちぶれ者の父親とたった二人、親類からも友達からも、すっかり見捨てられ尽くして、明日のたつきにも、
困
(
こう
)
じ果てていた時、その頃これも名を成さず
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
まだ、五十そこ/\の年輩ですが、正直者らしい代り、ひどい
耄
(
ぼ
)
けやうです。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
規矩男は父を
斯
(
こ
)
うも観察した。女の子が生れてすぐ死に、二番目の規矩男が生れたときは、父親は既にまったく老境に入って、しかも、永年の飲酒生活の結果は、
耄
(
ぼ
)
けて偏屈にさえなっていた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
実際、もういい加減に身の程を知つてもいい頃ぢや。実を言へば、そろそろ村でも、わしのことを
哂笑
(
わら
)
ひだしをつたのぢや。その言ひ草が、⦅ほいほい、
老爺
(
ぢい
)
さんもすつかり
耄
(
ぼ
)
けてしまつたよ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:01 はしがき
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「お蔭で、まだそれほど
耄
(
ぼ
)
けちあゐねえよ。」と、
教父
(
クーム
)
が言つた。「あいつのゐるとこへ、のめのめと帰えつて堪るもんけえ。おほかた夜明けまで婆あ仲間とほつつき𢌞つてやがるだらうよ。」
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
耄
漢検1級
部首:⽼
10画
“耄”を含む語句
老耄
耄碌
耄碌頭巾
病耄
耄碌馬
寐耄
老耄奴
耄碌爺
寝耄
老耄婆
耄及愚翁
耄碌頭布
耄衰
衰耄