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内匠頭のた事を、武士として、当然だとする者もあるし、短慮たんりょである、世間知らずのンチの癇癪かんしゃくだと、非難する者もかなり多い。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「むゝ。」とふくれ氣味のツちやまといふみえで、不承不精ふしやうぶしやう突出つきだされたしなを受取ツて、楊子やうじをふくみながら中窓のしきゐに腰を掛ける。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
大きな牛のようなブルを、あかの指一本でなげとばすというんだから、この大評判が、とうとう、新聞にまで出てしまった。
小指一本の大試合 (新字新仮名) / 山中峯太郎(著)
おやこれツちやまらつしやいまし、アハヽまアお可愛かあいらしいこと、いえうも親方おやかたおどろいてましたし、表方おもてかたの者もみな感心かんしんをしてえるんで
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ッちやんは最早もうオイ/\いてばかりゐて、なんにもはないので、怪我けがをしたのかしないのか一かうわけわかりませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
んち、何んにも怖いことあれへん。わたしがよう遊ばしたげるがな。……何んぞ手遊品てあそび持つて來たらよかつたなア。」
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
っちゃんの手紙を頂いてから、すぐ返事をかこうと思ったが、あいにく風邪を引いて一週間ばかりていたものだから、ついおそくなって済まない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
旦那衆だんなしゅうっちゃんが、下男げなんについてあそびにて、下男げなんにせがんで仔牛こうしたせてもらったのかもれません。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
深刻なしわを、何十万年となく縮ませている穂高山! 何物をも遠くへ突き放すように、深谷の中で、いつでも、ひとッちで、苦り切っている穂高山!
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
一知はマユミの両親が極度に浅ましいけちであると同時に、鬼ともけものともたとえようのない残酷な嫉妬焼やきもちやきである事を、ずっと以前から予想していた。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あんたところはぼろいことしはって、良家ええしやのに、んがこんな使いせんでもよろしおまっしゃろ」
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
了然はんがえらいんさんにならはるのには自分が退くのが一番やといふ事は知てるけど、こちらからは思ひ切ることは出来ん。了然はんの方から棄てなはるのは勝手や。
斑鳩物語 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
っちゃまがございます。もっともまだ五つになったばかりですが——」
金の封を切って、ばらまかなくては引っこみのつかない場合にせり詰ってもさすがにモルガン氏は、元禄げんろくの昔の大阪のンち亀屋忠兵衛のように逆上しないで、静に、紐育ニューヨークから顧問の博士を呼んだ。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「たったいま、お産れになったそうです、っちゃんだそうで」
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
赤んが生れたならばどうしませう
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
だが赤んは生涯出来ないわ。
赤んのお猿。
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いままでにも名前が知れてる。そのブルとあかの指一本の試合だ。そこへ二十万円の懸賞! さあもう、たいへんな人気だ。
小指一本の大試合 (新字新仮名) / 山中峯太郎(著)
んちはもうお立ちだしたで。何んやら急な用やいうて。」と、白粉のぶちになつた口元に微笑を寄せつゝ、女は言つた。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
厨房だいどころすみからすみまでけむりで一ぱいでした、公爵夫人こうしやくふじん中央まんなかの三脚几きやくきつてッちやんにちゝましてました、それから料理人クツク圍爐裡ゐろり彼方むかふ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
と冬をその中で過す準備を整え、毎日毎日ペンを走らした原稿紙が十枚十五枚と分厚く溜まるのを、けちが金を溜めるような気持で楽しんでいた。
眼を開く (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あの男もべらんめえに似ていますね。あのべらんめえと来たら、勇みはだっちゃんだから愛嬌あいきょうがありますよ」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
多「あれっちゃんを突きとばしやアがる、惣吉さんお出でなさえ…此奴こいつア…又打てねえ…さっ/\と行けい」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
独楽こまでだましたのは悪かったけれど、おとなしくクロをわたしてくれといっても、かせといってたのんでも、浜松城はままつじょう腕白わんぱくッちゃん、けっして、すなおには承知しょうちしないでしょう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぼくと共鳴せえへんか」そんな調子だったから、お辰はあれでは蝶子が可哀想かわいそうやと種吉に言い言いしたが、種吉は「ん坊んやから当り前のこっちゃ」別に柳吉を非難もしなかった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
平次はんさんのやうな事を言ひます。
「石川のんち。今日も流連ゐつゞけや、幸ひ雨になりさうで、結構なこつちや。」と、丹前姿で突つ立つたまゝ言つた。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
四邊あたり其香そのにほひで大變たいへんでした。公爵夫人こうしやくふじんでさへも、ッちやんとほとんどかはる/″\くさめをして、せるくるしさにたがひ頻切しツきりなしにいたりわめいたりしてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
瘠せ女がこう云い切ってしまわぬうちに、今度は向側むかいがわに居た、赤膨れの赤んが甲走った声で——
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
たまに正直な純粋じゅんすいな人を見ると、っちゃんだの小僧こぞうだのと難癖なんくせをつけて軽蔑けいべつする。それじゃ小学校や中学校でうそをつくな、正直にしろと倫理りんりの先生が教えない方がいい。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ホ……。そのんちでござるかの。光明寺から追われたお小僧というのは」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ん。落ちんようにしっかり掴まってなはれや」
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「さア次はんだす。たんと塗つてあげなはれ。」と、お駒も眼の縁を赤く泣きらして、背後うしろを向いた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「赤んの着物なの。拵えたまま、つい、まだ、ほどかずにあったのを、今行李の底を見たら有ったから、出して来たんです」と云いながら、附紐つけひもを解いて筒袖を左右に開いた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
紐育の中央郵便局に居りましたのはその途中で逃げ出していた時分の事で、頭髪かみを酸化水素で赤く縮らして、くろ香水こうすい身体からだに振りかけて、白人と黒人の混血児あいのこに化けていたのです。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「露が寒い、歩こうぜ。オヤ、あかは、寝ちまったのか」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ん坊ん、落ちんようにしっかりつかまってなはれや」
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
「何んしよまア、たツた一人のんちやもん、奧さんも久し振りに會ひたいのは、無理ごわへん。わたへが連れて行きますさかい、一寸だけでも會はしたげなはれ。」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
僕だなんて——書生しょせだな。大方おおかた女郎買でもしてしくじったんだろう。太え奴だ。全体ぜんてえこの頃の書生ッ坊の風儀が悪くっていけねえ。そんな奴に辛抱が出来るもんか、早くけえれ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今までこのへやには藍丸王唯一人しか居なかった筈なのに、今見ると最前の森の中に居た四人の化け物——じじと、女と、赤んとクリクリ坊主とが、四ツの椅子に向い合って、ちゃんと腰を掛けていた。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「きれいな鳥籠持って、南蛮寺なんばんじんさんが通るよ」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
如何どないしてん? ん」
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「そら仕樣がないと言や仕樣がないが、さう言うたもんやおまへん。なアんち、……阿母おかあさんに會ひとおまツしやろ。」と、千代松は微笑ほゝゑみながら竹丸の顏を見詰めた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
おお、お小姓こしょうとんぼのッちゃんたち!
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
んちの水揚は、わたへが手引してあげまへうな。……姫買ひなら、誰が何んちうても島原に限りまつせ。座敷から、燭臺一つまで違ふし、お後架へいても、あそこのは品がおますわい。」
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「よいンち……弟御かの」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——んさん」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)