きぎ)” の例文
せいぜい十八九にしか見えない若々しさも、生得の麗質が年齢をきぎむ由もないほど玲瓏れいろうとしているためでしょう。
なにをかこゝろむる、とあやしんで、おこみぎはつて、枯蘆かれあしくきごしに、ほりおもてみつめた雪枝ゆきえは、浮脂きらうへに、あきらかに自他じた優劣いうれつきぎけられたのを悟得さとりえて、おもはず……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
煙草をきぎむ音などというものは、専売局が出来た以後の人間には縁が遠くなった。夜なべか何かに煙草を刻んでいる家がある。その隣の方では轡虫くつわむしが鳴き立てている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
時計の針はセコンドのきぎんで行く音につれて、目に見えぬけれど動いた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
同時に眼じりにしわきぎんでにっこりした。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)