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囲
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かこい
ふりがな文庫
“
囲
(
かこい
)” の例文
旧字:
圍
が、すぐ町から小半町
引込
(
ひっこ
)
んだ坂で、一方は畑になり、一方は宿の
囲
(
かこい
)
の石垣が長く続くばかりで、人通りもなく、そうして
仄暗
(
ほのくら
)
い。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
建武中、飛騨の牛丸摂津守の居城敵兵に水の手を切られ苦しんだ時、白米で馬を洗い水多きように見せて敵を欺き
囲
(
かこい
)
を解いて去らしめた。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
同時にヒーと泣き出す女の声、私はぞっとして夫人に
倚
(
よ
)
り添いながら、
囲
(
かこい
)
の破れ目から楽屋の中を覗いて見た。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
第四「馬の間」の襖は応挙、第五「
孔雀
(
くじゃく
)
の間」は半峰、第六「八景の間」は島原八景、第七「桜の間」は
狩野
(
かのう
)
常信の筆、第八「
囲
(
かこい
)
の間」には
几董
(
きとう
)
の句がある。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と勧められるから新吉は、幸い名主に逢おうと
行
(
ゆ
)
きましたが、少し
田甫
(
たんぼ
)
を離れて庭があって、
囲
(
かこい
)
は生垣になって、
一寸
(
ちょいと
)
した門の形が有る中に花壇などがある。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
最もはだか蝋燭だから半紙で
囲
(
かこい
)
を作って、左手に高く捧げては、此処は曲りだ、大きな石がある、すべるぞ、と絶えず種々な掛声をして先に立つT氏の労は
普通
(
ひととおり
)
ではない。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
しかし全く自由になったつもりでいても実はやはり別の世界に移ったのでなくて何処までも自分の
囲
(
かこい
)
から出た訳ではなく、ただ自分の Spielraum を得たというに過ぎない
救われた稀本:——寺田寅彦著『物理学序説』
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そしてそれは私には、もっと現実的に——あたかも図案家が単にありきたりの
囲
(
かこい
)
あるいは後光でないように、しかしよく見ると真の魚であるように故意にしたものであるように見えました。
金の十字架の呪い
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
この年父信虎信州佐久の
海
(
うん
)
ノ口城の平賀源心を攻めたが抜けず、
囲
(
かこい
)
を解いて帰るとき、信玄わずか三百騎にて取って返し、ホッと一息ついている敵の油断に乗じて城を陥れ、城将源心を討った。
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
行子は三階の閣室で、おなじ年ごろの
高根
(
たかね
)
という侍女を相手に、のどかな顔で双六の骰子を振りながらいろいろと画策していた。こうまで
取固
(
とりかた
)
めた
囲
(
かこい
)
のなかへひきこむにはどうすればいいのか。
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「めッそうもない。じつはその折、わが眼の前ですぐいたせとの大御所の仰せつけに、やむをえず、公卿三名と、
舎人
(
とねり
)
雑色
(
ぞうしき
)
など七、八名を
囲
(
かこい
)
から解いて、お座所の内へ入れたような次第でして」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
質屋の前に
疎
(
まば
)
らな
囲
(
かこい
)
をして、その中に庭木が少し植えてあった。三本の松は、見る影もなく枝を刈り込まれて、ほとんど
畸形児
(
きけいじ
)
のようになっていたが、どこか
見覚
(
みおぼえ
)
のあるような心持を私に起させた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大仏の姿が屋根にも
囲
(
かこい
)
にもなるが、内側では胎内
潜
(
くぐ
)
りの仕掛けにして
膝
(
ひざ
)
の方から登って行くと、左右の
脇
(
わき
)
の下が
瓦燈口
(
かとうぐち
)
になっていて
此所
(
ここ
)
から一度外に出て、
印
(
いん
)
を結んでいる仏様の手の上に人間が出る。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「誰でもよいから
囲
(
かこい
)
を乗り越し、内の様子を探って来い」
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かばかり堅固なる
囲
(
かこい
)
の内よりそもいかにして脱け出でけん、なお人形の
後
(
うしろ
)
より声を
発
(
いだ
)
して無法なる婚姻を
禁
(
とど
)
めしも、
汝
(
なんじ
)
なるか。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
右左に
大
(
おおき
)
な花瓶が
据
(
すわ
)
って、ここらあたり、花屋およそ五七軒は、
囲
(
かこい
)
の穴蔵を払ったかと思われる見事な花が
夥多
(
おびただ
)
しい。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手入をしない
囲
(
かこい
)
なぞの荒れたのを、そのまま押入に
遣
(
つか
)
っているのであろう、身を忍ぶのは
誂
(
あつら
)
えたようであるが。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
禰宜 人妻にしては、
艶々
(
つやつや
)
と
所帯気
(
しょたいげ
)
が
一向
(
いっこう
)
に見えぬな。また所帯せぬほどの
身柄
(
みがら
)
とも見えぬ。
妾
(
めかけ
)
、てかけ、
囲
(
かこい
)
ものか、これ、
霊験
(
あらたか
)
な神の
御前
(
みまえ
)
じゃ、明かに申せ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その内、湯に入ると、
薄
(
うっす
)
りと
湯槽
(
ゆぶね
)
の縁へ西日がさす。
覗
(
のぞ
)
くと、空の
真白
(
まっしろ
)
な底に、高くから蒼空が
団扇
(
うちわ
)
をどけたような顔を見せて、からりと晴れそうに思うと、
囲
(
かこい
)
の外を
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
誰も
遮
(
さえぎ
)
る者はなかつたさうだけれど、それが又、敵の
囲
(
かこい
)
を
蹴散
(
けち
)
らして
遁
(
に
)
げるより、
工合
(
ぐあい
)
が悪い。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「しかし
貴客
(
あなた
)
、三人、五人こぼれますのは、
旅籠
(
はたごや
)
でも承知のこと、相宿でも間に合いませぬから、廊下のはずれの
囲
(
かこい
)
だの、
数寄
(
すき
)
な
四阿
(
あずまや
)
だの、
主人
(
あるじ
)
の
住居
(
すまい
)
などで受けるでござりますよ。」
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思切って、ずかずかと立入って、障子を開けますと、
百日紅
(
さるすべり
)
が、ちらちらと咲いている。ここを右へ、折れ曲りになって、七八間、
廂
(
ひさし
)
はあるが、
囲
(
かこい
)
のない、吹抜けの橋廊下が見えます。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その女学校の門を通過ぎた処に、以前は
草鞋
(
わらじ
)
でも
振
(
ぶ
)
ら下げて売ったろう。
葭簀張
(
よしずばり
)
ながら二坪ばかり
囲
(
かこい
)
を取った茶店が
一張
(
ひとはり
)
。片側に立樹の茂った空地の森を風情にして、
如法
(
にょほう
)
の婆さんが煮ばなを商う。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
細竹一節の
囲
(
かこい
)
もない、酔える
艶婦
(
えんぷ
)
の裸身である。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
囲
常用漢字
小5
部首:⼞
7画
“囲”を含む語句
周囲
囲繞
外囲
雰囲気
四囲
板囲
取囲
三囲
範囲
囲炉裏
囲炉裡
包囲
囲碁
重囲
囲者
囲内
雪囲
氛囲気
囲爐裡
幕囲
...