“瓦燈口”のいろいろな読み方と例文
新字:瓦灯口
読み方割合
かとうぐち66.7%
がとうぐち33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何という特徴もない十二畳部屋であったが、ふと、床間の壁を見ると、そこに掛けてあった大幅の懸物かけものが下に落ちていて、茶席の瓦燈口かとうぐちに似た切抜穴が、洞然と暗い口を開いている——
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大仏の姿が屋根にもかこいにもなるが、内側では胎内くぐりの仕掛けにしてひざの方から登って行くと、左右のわきの下が瓦燈口かとうぐちになっていて此所ここから一度外に出て、いんを結んでいる仏様の手の上に人間が出る。
暖簾のれんを垂らした瓦燈口がとうぐちに紅殻塗りの上りがまち、———世話格子ごうしで下手を仕切ったお定まりの舞台装置を見ると、暗くじめじめした下町の臭いに厭気いやけを催したものであったが
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
事に依ったらそう云う「お久」は人形より外にはないかも知れない。彼女は文楽座の二重舞台の、瓦燈口がとうぐちの奥の暗い納戸なんどにいるのかも知れない。もしそうならば彼は人形でも満足であろう。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)