瓦燈口がとうぐち)” の例文
新字:瓦灯口
暖簾のれんを垂らした瓦燈口がとうぐちに紅殻塗りの上りがまち、———世話格子ごうしで下手を仕切ったお定まりの舞台装置を見ると、暗くじめじめした下町の臭いに厭気いやけを催したものであったが
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
事に依ったらそう云う「お久」は人形より外にはないかも知れない。彼女は文楽座の二重舞台の、瓦燈口がとうぐちの奥の暗い納戸なんどにいるのかも知れない。もしそうならば彼は人形でも満足であろう。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)