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かこ
ふりがな文庫
“
囲
(
かこ
)” の例文
旧字:
圍
行燈
(
あんどん
)
の光に照された、
古色紙
(
こしきし
)
らしい
床
(
とこ
)
の懸け物、懸け
花入
(
はないれ
)
の
霜菊
(
しもぎく
)
の花。——
囲
(
かこ
)
いの中には御約束通り、物寂びた趣が漂っていました。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それでわたしたちは
炉
(
ろ
)
を
囲
(
かこ
)
んで、いっしょにくらす
晩
(
ばん
)
などには、そういう古い本をたんすから引き出して、めいめいに分けて読んだ。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
麦畑
(
むぎばたけ
)
と
牧場
(
ぼくじょう
)
とは
大
(
おお
)
きな
森
(
もり
)
に
囲
(
かこ
)
まれ、その
真
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
が
深
(
ふか
)
い
水溜
(
みずだま
)
りになっています。
全
(
まった
)
く、こういう
田舎
(
いなか
)
を
散歩
(
さんぽ
)
するのは
愉快
(
ゆかい
)
な
事
(
こと
)
でした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
町はずれの町長のうちでは、まだ
門火
(
かどび
)
を燃していませんでした。その
水松樹
(
いちい
)
の
垣
(
かき
)
に
囲
(
かこ
)
まれた、
暗
(
くら
)
い
庭
(
にわ
)
さきにみんな
這入
(
はい
)
って行きました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
途中に
分捕
(
ぶんどり
)
の大砲が並べてある。その前の所が少しばかり
鉄柵
(
てつさく
)
に
囲
(
かこ
)
い込んで、鎖の一部に札が
下
(
さ
)
がっている。見ると
仕置場
(
しおきば
)
の跡とある。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
本邦に例の多かった大工の棟梁の娘が大名の
御部屋
(
おへや
)
となり、魚売りの娘がその棟梁の
囲
(
かこ
)
い
者
(
もの
)
となりていずれも出世と心得たに異ならぬ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
お蝶は、この山屋敷の
囲
(
かこ
)
いの外のあこがれに生きていますが、二官は束縛された境遇を窮屈とも思わず、お蝶によって生きている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明るい茶の間の電燈の下で、父と兄との間にはさまれて、鋤焼鍋を
囲
(
かこ
)
んだ時の次郎の気持には、何とも言えない温かさがあった。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
峨峰
(
がほう
)
、
嶮山
(
けんざん
)
に
囲
(
かこ
)
まれた
大湖
(
たいこ
)
だから、
時々
(
とき/″\
)
颯
(
さつ
)
と
霧
(
きり
)
が
襲
(
おそ
)
ふと、この
飛
(
と
)
んでるのが、
方角
(
はうがく
)
に
迷
(
まよ
)
ふうちに
羽
(
はね
)
が
弱
(
よわ
)
つて、
水
(
みづ
)
に
落
(
お
)
ちる
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いてゐた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
少
(
すこ
)
しも
長
(
なが
)
く、おせんを
引
(
ひ
)
き
止
(
と
)
めておきたい
人情
(
にんじょう
)
が、
互
(
たがい
)
の
口
(
くち
)
を
益々
(
ますます
)
軽
(
かる
)
くして、まるく
囲
(
かこ
)
んだ
人垣
(
ひとがき
)
は、
容易
(
ようい
)
に
解
(
と
)
けそうにもなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
この
村
(
むら
)
に、一
軒
(
けん
)
の
金持
(
かねも
)
ちが
住
(
す
)
んでいました。その
家
(
うち
)
はすぎの
木
(
き
)
や、
葉
(
は
)
の
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
ずんだ、かしの
木
(
き
)
などで
取
(
と
)
り
囲
(
かこ
)
まれていました。
女の魚売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「その男は病人だ。狂犬病という奴でな、むやみに誰にでもくってかかる。アッハハハハ、困った病気だ。それよりどうだ碁でも
囲
(
かこ
)
もうか」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
芸妓買
(
げいしやがひ
)
はなさる、昨年あたりは
慥
(
たし
)
か妾を
囲
(
かこ
)
つてあると云ふ
噂
(
うはさ
)
さへ高かつた程です、
只
(
た
)
だ当時
黄金
(
かね
)
がおありなさると云ふばかりで、
彼様
(
あんな
)
汚
(
けが
)
れた男に
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
かなりの老人であるとのことだが、この女を身請けしていずれかへ
囲
(
かこ
)
って置くつもりらしい。女も、それをまんざらいやとは思っていないらしい。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
母は下谷の雛妓だった時分に父に見染められて、それからずっと
囲
(
かこ
)
われている。父は母の美人を愛してはいるが、母の
諂曲
(
へつらい
)
の性質が嫌いでそれで打つ。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
もう
夜
(
よ
)
になつた
頃
(
ころ
)
だ。
深
(
ふか
)
い
谷間
(
たにま
)
の
底
(
そこ
)
で
天幕
(
テント
)
を
張
(
は
)
つた
回々教
(
フイフイけう
)
の
旅行者
(
りよかうしや
)
が二三
人
(
にん
)
、
篝火
(
かがりび
)
を
囲
(
かこ
)
んでがやがや
話
(
はな
)
してゐた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
四方
(
しほう
)
が
山
(
やま
)
に
囲
(
かこ
)
まれた
甲府
(
こうふ
)
の町のことですから、九月になるともう
山颪
(
やまおろ
)
しの秋風が立ち、大きなテントの屋根は、ばさりばさりと風にあおられていました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
私達は
長田
(
ながた
)
秀雄氏と三人小さな
卓
(
テーブル
)
を
囲
(
かこ
)
つて色々の話をした。氏はその折吾が
紙
(
し
)
のために
近々
(
きん/\
)
演劇と当局の取締とについて長い論文を書かうと約束をした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
阪を上り果てゝ、
囲
(
かこ
)
いのトゲ
付
(
つき
)
鉄線
(
はりがね
)
を
潜
(
くぐ
)
り、放牧場を西へ西へと歩む。赭い牛や黒馬が、親子友だち三々伍々、
群
(
む
)
れ離れ寝たり起きたり
自在
(
じざい
)
に遊んで居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
八月の初旬、信濃の高原は雲の変幻の最も
烈
(
はげ
)
しい時である。桔梗が原を
囲
(
かこ
)
む山々の影も時あって暗く、時あって明るく、その緑の色も次第に黒みを帯びて来た。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
一様に規則正しい
畝
(
うね
)
や囲いによって、たとえば玉菜の次に豌豆があり、そのうしろに
胡瓜
(
きゅうり
)
の蔓竹が一と
囲
(
かこ
)
い、という順序に総てが整然とした父の潔癖な性格と
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
中央あたりに荷物
上
(
あ
)
げ
下
(
さ
)
げ用のエレヴェーターがあって、その周囲は厳重な
囲
(
かこ
)
いが仕切られて居り、その背面には、青いペンキを塗った大きな木の箱があって
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
野菜を
囲
(
かこ
)
っておく場所だったが、祖父の代に、
地埋
(
ちづ
)
みの部分の板壁に、モルタルを塗って電灯を引きこみ、西洋のカーヴ(地下室の酒倉)式の部屋をこしらえた。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
前に岩っかけを積み重ねて
囲
(
かこ
)
んだだけの岩穴で、それには少しもわざわざやったという細工の
痕
(
あと
)
がないのがなにより自然で、岩小屋の名前とあっていて気持がいい。
涸沢の岩小屋のある夜のこと
(新字新仮名)
/
大島亮吉
(著)
なにがしという一人の家を
囲
(
かこ
)
みたるおり、
鶏
(
にわとり
)
の
塒
(
ねぐら
)
にありしが、驚きて鳴きしに、主人すは
狐
(
きつね
)
の来しよと、
素肌
(
すはだか
)
にて起き、戸を出ずる処を、
名乗掛
(
なのりか
)
けて
唯
(
ただ
)
一槍
(
ひとやり
)
に殺しぬ。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
これは秋色といふ女が十三歳の時ものして上野の桜に結びつけたりとて、その桜を秋色桜と名づけ今も清水堂の裏手に
囲
(
かこ
)
ひたる老樹なり。井戸もその側に残りあり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
永「あゝ
彼処
(
あそこ
)
に墓場が有るから参詣人が有るで、墓参りのお方に見えぬように垣根して
囲
(
かこ
)
ったので」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そしてまもなく
王
(
みこ
)
ご自身が軍務をおひきつれになって、
大前
(
おおまえ
)
、
小前
(
こまえ
)
の家をお
攻
(
せ
)
め
囲
(
かこ
)
みになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
畑の中へ指して行きましてそこへ驢馬の荷物をすっかり卸して
其荷
(
それ
)
を三方に積み立てて
囲
(
かこ
)
いを造り
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
御承知
(
ごしょうち
)
の
方
(
かた
)
もありましょうが、
三崎
(
みさき
)
の
西海岸
(
にしかいがん
)
には
巌
(
いわ
)
で
囲
(
かこ
)
まれた
水溜
(
みずたまり
)
があちこちに
沢山
(
たくさん
)
ありまして、
土地
(
とち
)
の
漁師
(
りょうし
)
の
小供達
(
こどもたち
)
はよくそんなところで
水泳
(
みずおよ
)
ぎを
致
(
いた
)
して
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
客人
(
まろうど
)
の席のうしろを
囲
(
かこ
)
っていた
屏風
(
びょうぶ
)
が邪魔になって見えにくかったのであるが、故意にか偶然にか、追い/\騒ぎがはげしくなり、人々が
起
(
た
)
ったり居たりするにつれて
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
次
(
つぎ
)
は
瓢箪池
(
へうたんいけ
)
を
埋
(
うづ
)
めた
後
(
あと
)
の
空地
(
あきち
)
から
花屋敷
(
はなやしき
)
の
囲
(
かこ
)
ひ
外
(
そと
)
で、こゝには
男娼
(
だんしやう
)
の
姿
(
すがた
)
も
見
(
み
)
られる。
方角
(
はうがく
)
をかへて
雷門
(
かみなりもん
)
の
辺
(
へん
)
では
神谷
(
かみや
)
バーの
曲角
(
まがりかど
)
。
広
(
ひろ
)
い
道路
(
だうろ
)
を
越
(
こ
)
して
南千住行
(
みなみせんぢゆゆき
)
の
電車停留場
(
でんしやていりうぢやう
)
の
辺
(
あたり
)
。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
そこのおかみさんに聞いてみますと、女は結婚したのではなく、
囲
(
かこ
)
われているのだということでした、男というのは何処かの米屋の主人らしく、五十四五の頭の禿げた親父で
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
御
説
(
せつ
)
に
曰
(
いはく
)
「
凡
(
およそ
)
物
(
もの
)
方体
(
はうたい
)
は(四角なるをいふ)
必
(
かならず
)
八を以て一を
囲
(
かこ
)
み
円体
(
ゑんたい
)
は(丸をいふ)六を以て一を
囲
(
かこ
)
む
定理
(
ぢやうり
)
中の
定数
(
ぢやうすう
)
誣
(
しふ
)
べからず」云々。雪を
六
(
むつ
)
の
花
(
はな
)
といふ事 御
説
(
せつ
)
を以しるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
目黒の百姓家に通善を
囲
(
かこ
)
って、髪の毛の伸びるのを待って居る頃、お新は時々使いに来て居るから、無住の尼寺に入って泊っても、近所の衆は大した不思議とも思わなかったらしい
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
先ず待合其他の曖昧な家か或は
其
(
その
)
囲
(
かこ
)
われて居る自分の家だナ(大)サ夫だから囲い者で無いと云うのです、第一、待合とか曖昧の家とか云う所だと是程の人殺しが
有
(
あっ
)
て御覧なさい
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
第一の必要が高燥で日当りの好い土地ですから
物置
(
ものおき
)
の
檐下
(
のきした
)
で南向きの処を択べばそれで沢山です、先ず
其処
(
そこ
)
を一坪
竹矢来
(
たけやらい
)
で
囲
(
かこ
)
います。一坪なくとも奥行四、五尺位でも構いません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それは
彼
(
かれ
)
が
古
(
ふる
)
くから
病院
(
びょういん
)
にいる
為
(
ため
)
か、
町
(
まち
)
で
子供等
(
こどもら
)
や、
犬
(
いぬ
)
に
囲
(
かこ
)
まれていても、
决
(
けっ
)
して
他
(
た
)
に
何等
(
なんら
)
の
害
(
がい
)
をも
加
(
くわ
)
えぬと
云
(
い
)
うことを
町
(
まち
)
の
人
(
ひと
)
に
知
(
し
)
られている
為
(
ため
)
か、とにかく、
彼
(
かれ
)
は
町
(
まち
)
の
名物男
(
めいぶつおとこ
)
として
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そこで
又
(
また
)
はげしい
戦
(
いくさ
)
がはじまりました。
保名主従
(
やすなしゅじゅう
)
は
幾
(
いく
)
ら
強
(
つよ
)
くっても、
先刻
(
せんこく
)
の
働
(
はたら
)
きでずいぶん
疲
(
つか
)
れている上に、百
倍
(
ばい
)
もある
敵
(
てき
)
に
囲
(
かこ
)
まれていることですから、とても
敵
(
かな
)
いようがありません。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
海を
囲
(
かこ
)
める数万の群集、
俄
(
にはか
)
にピツタリと鳴りを静め、稲佐の岸打つ漣の音。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「さうでせう。それで、身請をして
他
(
ほか
)
へ
囲
(
かこ
)
つて置かうとでも云ふのですか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ある時は
深山
(
しんざん
)
に迷い込みて
数千
(
すせん
)
の
狼
(
おおかみ
)
に
囲
(
かこ
)
まれ、一生懸命の勇を
鼓
(
なら
)
して、その首領なる
老狼
(
ろうろう
)
を引き倒し、
上顎
(
うわあご
)
と
下顎
(
したあご
)
に手をかけて、口より身体までを両断せしに、
他
(
た
)
の狼児は
狼狽
(
ろうばい
)
して
悉
(
ことごと
)
く
遁失
(
にげう
)
せ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
一
遠野郷
(
とおのごう
)
は今の陸中
上閉伊
(
かみへい
)
郡の西の半分、山々にて取り
囲
(
かこ
)
まれたる平地なり。
新町村
(
しんちょうそん
)
にては、遠野、
土淵
(
つちぶち
)
、
附馬牛
(
つくもうし
)
、松崎、
青笹
(
あおざさ
)
、
上郷
(
かみごう
)
、
小友
(
おとも
)
、
綾織
(
あやおり
)
、
鱒沢
(
ますざわ
)
、
宮守
(
みやもり
)
、
達曾部
(
たっそべ
)
の一町十ヶ村に分かつ。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼女は祇園でかなり知られた芸妓だつたさうだが、今は廃めて、ある旦那に
囲
(
かこ
)
はれて居るのであつた。彼女は伯父をば「お父つあん。」と呼んで居たが、お雪伯母をば「姉はん。」と言つて居た。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
其は、別の何かの
為方
(
しかた
)
で防ぐ外はなかつた。だから、唯の夜だけでも、村なかの男は何の憚りなく、垣を踏み凌いで処女の閨の戸をほと/\と叩く。
石城
(
しき
)
を
囲
(
かこ
)
うた村には、そんなことはもうなかつた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
あの娘が大納言様の
囲
(
かこ
)
い者にされてしまっても構わないのですか? 衛門、悪いことは申しませぬから是非そうなさいませ。何でしたら、手前からあの娘にようくそのことを云い聞かせて差上げます。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
私達
(
わたしたち
)
は
卓子
(
てーぶる
)
を
囲
(
かこ
)
んで、
莨
(
たばこ
)
をふかしながら
漫談
(
まんだん
)
に
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
した。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
これは温泉から
沈澱
(
ちんでん
)
したのです。
石英
(
せきえい
)
です。岩のさけ目を白いものが
埋
(
う
)
めているでしょう。いい
標本
(
ひょうほん
)
です。〕みんなが
囲
(
かこ
)
む。水の中だ。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ある有名な御用商人の店へ、番頭格に
通
(
かよ
)
っている田宮は、お
蓮
(
れん
)
が牧野に
囲
(
かこ
)
われるのについても、いろいろ世話をしてくれた人物だった。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれどその
翌日
(
よくじつ
)
も、巡査はまたやって来た。そうしてわたしたちの
芝居小屋
(
しばいごや
)
の
囲
(
かこ
)
いのなわをとびこえて、
興行
(
こうぎょう
)
なかばにかけこんで来た。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
囲
常用漢字
小5
部首:⼞
7画
“囲”を含む語句
周囲
囲繞
外囲
雰囲気
四囲
板囲
取囲
三囲
範囲
囲炉裏
囲炉裡
包囲
囲碁
重囲
囲者
囲内
雪囲
氛囲気
囲爐裡
幕囲
...