トップ
>
囲
>
い
ふりがな文庫
“
囲
(
い
)” の例文
旧字:
圍
人の形が、そうした霧の
裡
(
なか
)
に薄いと、
可怪
(
あやし
)
や、
掠
(
かす
)
れて、
明
(
あから
)
さまには見えない
筈
(
はず
)
の、
扱
(
しご
)
いて
搦
(
から
)
めた
縺
(
もつ
)
れ糸の、蜘蛛の
囲
(
い
)
の
幻影
(
まぼろし
)
が、幻影が。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
四方の壁際までにはやっとその光りが泳ぎ着く位で、四
囲
(
い
)
は灰色の壁が
朦朧
(
もうろう
)
と浮き出てストーブの火もいつしか消えていた。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、ニッコリ顔を見あわせていたのは、その空気の一
角
(
かく
)
にあって、四
囲
(
い
)
のどよめきを
愉快
(
ゆかい
)
がっていた
忍剣
(
にんけん
)
と
龍太郎
(
りゅうたろう
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
低い
天井
(
てんじょう
)
の白茶けた板の、二た所まで
節穴
(
ふしあな
)
の
歴然
(
れっき
)
と見える上、
雨漏
(
あまもり
)
の
染
(
し
)
みを
侵
(
おか
)
して、ここかしこと
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
を
欺
(
あざむ
)
く
煤
(
すす
)
がかたまって黒く釣りを
懸
(
か
)
けている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
腰の広さ十
囲
(
い
)
に余る酒臭い陸軍将校と、眠りながら歯ぎしりをするどこかの令夫人との間にはさまって、出来るだけ肩をすぼめながら、青年らしい、とりとめのない空想に
耽
(
ふけ
)
っていた。
西郷隆盛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
その時でもまだ元の教室の部屋は大体昔のままに物置のような形で保存され
黴
(
かび
)
とほこりと
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
の支配に任せてあったので従ってこのS先生の手紙もずっとそのままに抽出しの中に永い眠りを
埋もれた漱石伝記資料
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ただ炳文の陣に熟せる、大敗して
而
(
しか
)
も
潰
(
つい
)
えず、
真定城
(
しんていじょう
)
に入りて門を
闔
(
と
)
じて堅く守る。燕兵
勝
(
かち
)
に乗じて城を囲む三日、下す
能
(
あた
)
わず。燕王も炳文が老将にして破り
易
(
やす
)
からざるを知り、
囲
(
い
)
を解いて
還
(
かえ
)
る。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
やはり四
囲
(
い
)
の批評のほうがつらきものと見ゆる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
蘆の中に、色の白い
痩
(
や
)
せた
嫗
(
おうな
)
、
高家
(
こうけ
)
の後室ともあろう、品の
可
(
い
)
い、目の赤いのが、
朦朧
(
もうろう
)
と
踞
(
しゃが
)
んだ手から、
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
かと見る糸
一条
(
ひとすじ
)
。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前に見えるのは、
鳥首峠
(
とりくびとうげ
)
です、左の山
間
(
あい
)
に肩をそびやかしているのは天目山のようです。どうやら三峰の社前へ出る秩父街道の高原とはガラリと四
囲
(
い
)
の山容が変っている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若き空には星の乱れ、若き
地
(
つち
)
には
花吹雪
(
はなふぶき
)
、一年を重ねて二十に至って愛の神は今が
盛
(
さかり
)
である。緑濃き黒髪を
婆娑
(
ばさ
)
とさばいて
春風
(
はるかぜ
)
に織る
羅
(
うすもの
)
を、
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
と五彩の軒に懸けて、
自
(
みずから
)
と引き
掛
(
かか
)
る男を待つ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
指
(
ゆびさ
)
したのは、
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
の間にかかって、一面
漆
(
うるし
)
を塗ったように古い額の、
胡粉
(
ごふん
)
が白くくっきりと残った、
目隈
(
めぐま
)
の蒼ずんだ中に、
一双虎
(
いっそうとら
)
のごとき
眼
(
まなこ
)
の光、
凸
(
なかだか
)
に
爛々
(
らんらん
)
たる、一体の
般若
(
はんにゃ
)
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし、それは、昼ここを訪れた人の見られるもので、今は額堂全体も四
囲
(
い
)
の山もトップリ暮れて、社家の方から、
大股
(
おおまた
)
にここへきた武士の影は、すぐ額堂の濃い闇の中にかき消えてしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
の細き通い路より
来
(
きた
)
る。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
婀娜
(
あだ
)
たる声、障子を開けて顔を出した、水色の
唐縮緬
(
とうちりめん
)
を
引裂
(
ひっさ
)
いたままの
襷
(
たすき
)
、玉のような
腕
(
かいな
)
もあらわに、
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
を
絞
(
しぼ
)
った
浴衣
(
ゆかた
)
、帯は
占
(
し
)
めず、
細紐
(
ほそひも
)
の
態
(
なり
)
で
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
って、布の純白なのを
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
軒の
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
の大きなのに、はらりと乗って、
水車
(
みずぐるま
)
に霧が
懸
(
かか
)
った風情に見える。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
生命
(
いのち
)
の
搦
(
から
)
む
桟橋
(
かけはし
)
から、
危
(
あやう
)
く傾いた二階の廊下に、日も見ず、
背後
(
うしろ
)
むきに鼠の
布子
(
ぬのこ
)
の
背
(
せな
)
を曲げた首の色の
蒼
(
あお
)
い男を、フト一人見附けたが、軒に掛けた
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
の、ブトリと膨れた蜘蛛の腹より
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と暮れかかる
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
の
檐
(
のき
)
を仰いだ、
奴
(
やっこ
)
の
出額
(
おでこ
)
は暗かった。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
月の色はやや青く、
蜘蛛
(
くも
)
はその
囲
(
い
)
を営むのに
忙
(
せわ
)
しい。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
囲
常用漢字
小5
部首:⼞
7画
“囲”を含む語句
周囲
囲繞
外囲
雰囲気
四囲
板囲
取囲
三囲
範囲
囲炉裏
囲炉裡
包囲
囲碁
重囲
囲者
囲内
雪囲
氛囲気
囲爐裡
幕囲
...