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喫
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ふか
ふりがな文庫
“
喫
(
ふか
)” の例文
「煽がないだつて好いのよ、何か手に持つてゐなければ格構がつかないわよ、煙草ばかりプカ/\
喫
(
ふか
)
されてゐるのも困るからね。」
小川の流れ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
こっちの仲働きは内儀さんからこう言い渡されたとき、奥から下って来ると厭な顔をして、黙って火鉢の傍で莨ばかり
喫
(
ふか
)
していた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
芋蟲
(
いもむし
)
は
腕
(
うで
)
を
組
(
く
)
んで
其頂
(
そのいたゞ
)
きに
坐
(
すわ
)
り、
悠々
(
いう/\
)
と
長
(
なが
)
い
水煙草
(
みづたばこ
)
の
煙管
(
きせる
)
を
喫
(
ふか
)
してゐて、
愛
(
あい
)
ちやんや
其他
(
そのた
)
の
物
(
もの
)
にも
一切
(
いつさい
)
眼
(
め
)
をくれませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
わたしは煙草に火をつけて、いつも解決の出来ない矛盾の圏内を、始終どう/\廻りをするときに必ずやる癖ですが、ぽか/\
喫
(
ふか
)
し始めました。
クロイツェル・ソナタ:01 クロイツェル・ソナタ
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
ところが、困つたことには、二人とも煙草を
喫
(
ふか
)
してゐた。一体煙草といふものは恋の墓場の煙と言はれるもので、恋をするものは決して煙草など喫さない。
茶話:12 初出未詳
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
夜は更けたが、寒さに震えるのではない、骨まで、ぐなぐなに酔っているので、ともすると
倒
(
のめ
)
りそうになるのを、
路傍
(
みちばた
)
の電信柱の根に
縋
(
すが
)
って、片手
喫
(
ふか
)
しに立続ける。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(此日には源助さんが白井様へ上つて、お
家中
(
うちぢゆう
)
の人の髪を刈つたり顔を
剃
(
あた
)
つたりするので、)大抵村の人が三人四人、源助さんの
許
(
とこ
)
で
莨
(
たばこ
)
を
喫
(
ふか
)
しながら世間話をしてゐぬ事はなかつた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
寝しなに、ランプの火で煙草を
喫
(
ふか
)
しながら、気がくさくさするような調子で、「アア、何だか厭になってしまった。」と溜息を
吐
(
つ
)
いた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
純吉は、湯の中に仰向けの儘煙草を
銜
(
くは
)
えて、悠々と
喫
(
ふか
)
し始めた。静かな朝だつた。煙りはゆらゆらと立ち昇つて、天井に延びた。
明るく・暗く
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
その日は小久保氏に誘はれて、小川氏は雨の降る
間
(
なか
)
をカフエエ・オリエントに着いた。そして二人は
円卓
(
テーブル
)
を差向ひに煙草を
喫
(
ふか
)
しながら、細君や丸善や
蚤
(
のみ
)
の話をしてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
源助さんの
許
(
とこ
)
で莨を
喫
(
ふか
)
しながら世間話をしてゐぬ事はなかつた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「それが
真実
(
ほんとう
)
とすれあ、己にだって言分があるぞ」いつか眠についていた父親は、床のうえに起あがって、煙草を
喫
(
ふか
)
しながら考えていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「もの云へば唇寒く——もの書けばペンまた寒く、思ふこと更に寒し。」などと思ひながら、私は泉水に眼を放つて茫然と煙草を
喫
(
ふか
)
してゐた。
或る日の運動
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
記者はそんな折に
例
(
いつ
)
もするやうに煙草を
喫
(
ふか
)
さうと思つて
上衣
(
うはぎ
)
のポケツトに手を入れた。指先に触つたのは煙草では無くて、矢張その頃の文士の一人フランソア・コツペエの詩集であつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
暴出
(
あれだ
)
すお島を押えたために、可也興奮させられて来た鶴さんは、
爪痕
(
つめあと
)
のばら桜になっている腕をさすりながら、
莨
(
たばこ
)
を
喫
(
ふか
)
していた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
女房は、短い海老茶袴のやうなものゝ上に、男のものでもありさうな毛糸のジヤケトを着て、ぷか/\と煙草を
喫
(
ふか
)
してゐる。
お蝶の訪れ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
そのまま又眼を細めてじつと葉巻を
喫
(
ふか
)
してゐた。
茶話:12 初出未詳
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「とにかくどんなところでもいいで、家を一つ捜さないじゃ……話はそれからのことですって。」と父親は落ち着き払って
莨
(
たばこ
)
を
喫
(
ふか
)
していた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
では、今日もまた好い天気なのだな! 今日は何んな催しごとがあるんだらう? ——樽野は、寝台の中で煙草を
喫
(
ふか
)
しながら怖る/\呟いた。
村のストア派
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「どうしてまたそう作太郎を嫌ったものだろうねえ」おとらは
前屈
(
まえこご
)
みになって、
華車
(
きゃしゃ
)
な銀煙管に煙草をつめながら一服
喫
(
ふか
)
すと
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
滝は、堅くなつて煙草を
喫
(
ふか
)
してゐた。彼は、口のうちで、いや
関
(
かま
)
はないよ、君等はそれをやり給へな——といふやうなことを呟いてゐた。彼は、変に心細かつた。
昔の歌留多
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
お雪がお今が寝静まってから、お増は蒲団のなかに横たわっている浅井の
枕頭
(
まくらもと
)
へ来て、莨を
喫
(
ふか
)
しながら、それを気にしていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ここには浮浪者の姿に身を
窶
(
やつ
)
した盗賊団の穴居が
在
(
あ
)
って、私はその団長で、
煙草
(
シガレット
)
を
喫
(
ふか
)
すのにピストルを打ってライターの用にし
馴
(
な
)
れている拳銃使いの名人と知り合いだったが
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
笹村はランプを
瞶
(
みつ
)
めながら、舌にいらいらする手捲き莨を
喫
(
ふか
)
していたが、今日話をきめてしまったことが何となく悔いられるようにも思えて来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
純吉は縁側に腰を降した儘、煙草を
喫
(
ふか
)
しながらぼんやり広い庭を眺めてゐた。
渚
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
笹村は
喫
(
ふか
)
しつづけの莨に舌がいらいらして来ると、ふと机に向き直って何か書こうとして紙を見つめることもあったが、頭はやッぱり疲れていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
或る朝、私が朝飯を済ませて煙草を
喫
(
ふか
)
してゐるとAが来て、あがらないで
蔭ひなた
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
芳太郎は荒い息をしながら、縁に腰かけて黙って
莨
(
たばこ
)
を
喫
(
ふか
)
していたが、するうちに手拭や
石鹸
(
せっけん
)
を持ち出して湯に行った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は煙草を
喫
(
ふか
)
したかつたが、仕方がありませんので、酷く手持無さたになつて、息づかひの激しい、性急な、間断なく山になつたり谷になつたりする腹の運動を眺めてゐるより他にありませんでした。
晩春の健康
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
お増はそう言って、長火鉢の傍で莨を
喫
(
ふか
)
していたが、お今の執念が
絡
(
まつ
)
わり着いているようで、厭であった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
山村は、無器用な手つきで煙草を
喫
(
ふか
)
しながら呟いだ。
或る日の運動
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「ふむふむ。」と、浅井は莨を
喫
(
ふか
)
しながら、少しずつほぐれて来るお今の話に、気軽な
応答
(
うけこたえ
)
をしていたが、じきに
目蓋
(
まぶた
)
の重そうな顔をして、二階へ引き揚げて行った。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そうしてフカフカと莨を
喫
(
ふか
)
す。筋張ったような顔が蒼くなって、目が
酔漢
(
よっぱらい
)
のように据わっている。口を利く張合いも抜けてしまうのだが、胸の中はやっぱり煮えている。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
笹村は台所の上になっている暑い自分の部屋を出て、バルコニーの方へ出ると、雨に
晒
(
さら
)
された椅子に腰かけて、暗いなかで莨を
喫
(
ふか
)
していた。そこへ二、三人の学生が出て来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なお硝子戸の引いてある
手摺
(
てすり
)
に
靠
(
もた
)
れて、順々に荷物の積まれるのを見ていたが、小池の
采配
(
さいはい
)
ですっかり積みこまれ
縄
(
なわ
)
がかけられるのを見澄ましてから、
煙草
(
たばこ
)
を一本取り出して
喫
(
ふか
)
しはじめ
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お作が入って来た時、お国は長煙管で、スパスパと莨を
喫
(
ふか
)
していた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
喫
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
“喫”を含む語句
喫驚
喫茶店
喫煙室
喫飯
喫了
黄泉戸喫
喫茶
一喫
喫茶室
満喫
喫烟
滿喫
召喫
喫煙珈琲店
喫掛
喫茶館
喫付
飲喫
面喫
着衣喫飯
...