トップ
>
燻
>
ふか
ふりがな文庫
“
燻
(
ふか
)” の例文
見れば郡視学は巻煙草を
燻
(
ふか
)
し乍ら、独りで新聞を読み
耽
(
ふけ
)
つて居る。『失礼しました。』と声を掛けて、
其側
(
そのわき
)
へ自分の椅子を擦寄せた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
平次は相變らず
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
の亂れ飛ぶのを眺め乍ら、
鐵拐仙人
(
てつかいせんにん
)
のやうに粉煙草の煙を不精らしく
燻
(
ふか
)
すのでした。女房のお靜は、貧しい夕食の仕度に忙しく、
乾物
(
ひもの
)
を燒く臭ひが軒に籠ります。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
好きな
巻煙草
(
まきたばこ
)
をもそこへ取出して、火鉢の灰の中にある
紅々
(
あかあか
)
とおこった炭の
焔
(
ほのお
)
を無心に
眺
(
なが
)
めながら、二三本つづけざまに
燻
(
ふか
)
して見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
平次は相変らず
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
の乱れ飛ぶのを眺めながら、
鉄拐仙人
(
てっかいせんにん
)
のように粉煙草の煙を不精らしく
燻
(
ふか
)
すのでした。女房のお静は、貧しい夕食の仕度に忙しく、
乾物
(
ひもの
)
を焼く臭いが軒に
籠
(
こも
)
ります。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
次第に
周囲
(
あたり
)
はヒッソリとして来た。正太は帰ることを忘れた人のようであった。叔父が煙草を
燻
(
ふか
)
している前で、正太は長く小金の耳を借りた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
多忙
(
いそが
)
しがっている人に似合わず、達雄はガッカリしたように坐って、
復
(
ま
)
た煙草を
燻
(
ふか
)
し始めた。何となく彼は
平素
(
ふだん
)
のように
沈着
(
おちつ
)
いていなかった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その度に三吉は病室の外へ出て、夏めいた空の見える
玻璃戸
(
ガラスど
)
のところで巻煙草を
燻
(
ふか
)
した。白い制服を着けた看護婦は長い廊下を
往来
(
ゆきき
)
していた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
感じて
貰
(
もら
)
うより外に仕方の無いような領分があった。岸本はある点までは輝子の言うことも聞いて見たいと思って、黙って煙草を
燻
(
ふか
)
していた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
都会の方から来た頃から見ると、髪なども長く延ばし、憂鬱な眼付をして、好きな煙草を
燻
(
ふか
)
し燻し学士の話に耳を傾けた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こうお種は言いかけたが、興奮のあまり声が
咽喉
(
のど
)
へ
乾干
(
ひから
)
び付いたように成った。豊世も
姑
(
しゅうとめ
)
の側に考深い眼付をして、女持の
煙管
(
きせる
)
で煙草を
燻
(
ふか
)
していた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
煙草好きな彼は更に新しい紙巻を取出して、それを
燻
(
ふか
)
して見せて、自分は今それほど忙しくないという意味を示したが、原の方ではそうも
酌
(
と
)
らなかった。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と呼び留められて、釜形帽と鳥打帽と一緒に、石垣に
倚
(
よ
)
りながら煙草を
燻
(
ふか
)
し始めた。女二人は話し話し働いた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「三吉はえらく煙草を
燻
(
ふか
)
すように成ったナ」と森彦はすこし顔をシカめた。この兄は煙草も酒もやらなかった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
斯
(
か
)
ういふ銀之助の言葉は深く対手の注意を惹いた。校長と郡視学の二人は巻煙草を
燻
(
ふか
)
し乍ら、
奈何
(
どう
)
銀之助が言出すかと、黙つて其話を待つて居たのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
其時迄、黙つて二人の
談話
(
はなし
)
を聞いて、巻煙草ばかり
燻
(
ふか
)
して居た準教員は、
唐突
(
だしぬけ
)
に
斯様
(
こん
)
なことを言出した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ずっと以前には長い立派な
髯
(
ひげ
)
を
厳
(
いかめ
)
しそうに
生
(
はや
)
した小父さんであった人がそれを
剃
(
そ
)
り落し、涼しそうな
浴衣
(
ゆかた
)
に
大胡坐
(
おおあぐら
)
で
琥珀
(
こはく
)
のパイプを
啣
(
くわ
)
えながら巻煙草を
燻
(
ふか
)
し燻し話す
容子
(
ようす
)
は
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
学士は私と
相対
(
さしむかい
)
に腰掛けて、私に煙草をすすめ自分でもそれを
燻
(
ふか
)
しながら、医局のものは皆な私の子供のことを気の毒に思うと言って、そのことは病院の日誌にも書き、又
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
岸本は好きな
煙草
(
たばこ
)
を取出した。それを
燻
(
ふか
)
し燻し園子との
同棲
(
どうせい
)
の月日のことを考えて見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
豊世は姑から細い銀の
煙管
(
きせる
)
を借りて、
前曲
(
まえこご
)
みに煙草を
燻
(
ふか
)
してみながら、話を聞いている。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
おげんは娘から勧められた煙管の吸口を軽く
噛
(
か
)
み支えて、さもうまそうにそれを
燻
(
ふか
)
した。子の愛に
溺
(
おぼ
)
れ浸っているこの親しい感覚は自然とおげんの胸に亡くなった旦那のことをも
喚
(
よ
)
び起した。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お新は電燈に映るコップの中の酒を前に置いて、その間には煙草も
燻
(
ふか
)
した。山本さんが行って来た方の長江の船旅の話なぞは、彼女を楽ませた。山本さんと違って、そう遠慮ばかりしていなかった。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お牧とお新は火鉢の側で、旅らしく巻煙草なぞを
燻
(
ふか
)
し燻し話した。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
相川は巻煙草を
燻
(
ふか
)
しながら
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
燻
漢検1級
部首:⽕
18画
“燻”を含む語句
一燻
燻肉
蚊燻
燻蒸
黒燻
松葉燻
燻腿
燻製
燻銀
燻占
空燻
燻製鰊
余燻
燻々
銀燻
坐燻
股燻製
突燻
燻鰊
燻香
...