賦課ふか)” の例文
予算一万貫、工人二万、京都の富豪たちにも、賦課ふかを申しつけた。——そして彼は虎の毛皮の行縢むかばき穿うがち、時には、手に白刃はくじんをさげて、外門の工を見廻った。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
耕作人は少く新に税が賦課ふかされる時代で東京近在の田畑の中には酒一升つけて無価で貰ってもらうというところさえ出来た頃のことだから弥太郎のこの算段は骨が折れた。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
になをもって賦課ふかとした制度は、是も伊波氏はただ一つの例しか挙げておられぬが、いよいよこの物の国際価値が低下して、量をもってその弱点を補わねばならぬようになると
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あの折、織田殿の名をもって、この堺へも、二万金の賦課ふかがいい渡されたのです。それを、背後にある三好党の使嗾しそうで、わしたち堺の代表者は、きっぱりねつけました。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「筑州こそ、不遜ふそんなれ。いつのまにか、父の臣たる分を忘れ、父の遺臣に、賦課ふかを申しつけ、未曾有みぞうの築城を急ぐ上に、この身を邪魔あつかいにして、近頃は、何ひとつはかろうて来ぬ」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後年、江戸城修築の賦課ふかが諸侯に命ぜられた時、肥後藩においては都甲金平が宰領さいりょうして事に当ったが、なにかの行き違いから、都甲金平に石盗人の嫌疑けんぎが懸り、幕府の獄に投ぜられた。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)